2023年04月03日号

(2023年03月27日~2023年03月31日)

先週の為替相場

円売りとドル売り

 先週(3月27-31日)はドル高円安の一方、対円以外ではドルの下落が目立った。10日の米シリコンバレー銀行(SVB)破綻をきっかけとした金融不安が一服し、リスク選好ムードが広がった。

 ドルは先々週末24日の1ドル=129円64銭を底として上昇に転じた。米当局が銀行向け緊急融資制度の拡張などの追加支援策を検討すると25日に報じられると警戒感が後退した。28日には北朝鮮の金総書記による「核兵器をいつでも使用できるように準備しておくべきだ」との発言や年度末を控えた本邦輸出企業の円買い需要などが重石となり、131円台後半から130円台半ば割れまでいったん調整が入った。しかし、翌29日には再びドル高となり、31日に133円台半ばを超えた。29日に企業分割が話題となった中国の電子商取引最大手アリババグループ株が急騰したことをきっかけに株高の流れが世界的に強まり、リスク選好のドル高円安に傾いた。

 31日海外市場でドルは先週の高値を更新した後、利益確定などの売りが強まり、132円台後半で先週の取引を終えた。

 対円以外ではドル売りが優勢となり、24日の1ユーロ=1.0710ドル台から先週後半に1.0920ドル台のユーロ高ドル安に動いた。27日発表された3月の独Ifo景況感指数(用語説明1)が予想外に2月から改善したことや欧州金融不安の一服などを材料にユーロ買いが続いた。複数のユーロ加盟国の中央銀行総裁から追加利上げに前向きな発言があったこともユーロ高につながった。

 31日海外市場で、1ユーロ=1.0920ドル台から1.08ドル台前半までユーロ高の調整が入って先週の取引を終えた。

 対ポンドでも対ユーロと同様にドルが下落し、先々週末の1ポンド=1.2190ドル台から31日には1.2420ドル台までポンド高ドル安が進んだ。

 一方、ドル高円安とユーロ高ドル安の両面から、24日の1ユーロ=139円10銭前後から145円台半ば超えて大幅なユーロ高円安となった。

今週の見通し

 3月の米雇用統計が発表される4月7日までに米ISM製造業景気指数、同非製造業景気指数、米JOLTS求人数なども発表され、やや不安定な値動きが予想される。7日はグッドフライデー(用語説明2)で世界の多くの市場が休場。10日もイースターマンデーで休場の国・地域が多い。取引参加者が極端に少ない中で米雇用統計が発表され、相場が急変する可能性がある。

 流れはドル高が優勢。週末に報じられた石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどOPEC非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」の減産合意を受けて、原油高による米国のインフレ懸念が再燃し、次回5月2、3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ観測につながっている。米金利先物市場では3月31日時点で金利据え置き見通しが大勢だったが、減産合意報道を受けて0.25%の利上げ見通しが据え置き見通しを上回っている。

 米経済指標次第で135円に向けてドル買いが強まると予想されるが、金融不安の影響などから米主要指標にぶれが生じる可能性がある点には注意を要する。

 先週は1ユーロ=1.09ドル台でユーロ売り意欲がかなり強く、短期的には売りが出やすい地合いとなっている。1ユーロ=1.07-1.09ドルのレンジ取引が中心となりそうだ。

 

用語の解説

独Ifo景況感指数 ドイツ5大研究所に数えられるIfo経済研究所が全ドイツの約9000社を対象とする調査を基に作成する景況指標。製造業、建設業、卸売業、小売業などを対象に現況と半年後の期待について5段階評価でアンケートを実施。現況指数、期待指数も同時に発表し、両者を基に総合指数を算出する。算出の現行基準年は2015年。
グッドフライデー キリスト教でのイースター(復活祭)前の金曜日。イエス・キリストが十字架に架けられた日とされている。イースターは春分の日以降で最初の満月を迎えた後の日曜日となっており、3月22日から4月25日の間のいずれかの日曜日となる。米国では国を挙げての祝日ではないが、ニュージャージーなど12の州で祝日となる。NY州では祝日ではないが、NY証券取引所などは休場となる。

今週の注目指標

米ISM製造業景気指数(3月)
4月3日23:00
☆☆☆
前回2月の米ISM製造業景気指数は47.7と、1月の47.4から小幅に改善したが、4カ月連続で景気拡大・縮小判断の境となる50を下回った。先行指標とされる新規受注は大幅に改善したが、雇用が50超えから49.1に悪化した。今回は47.5と小幅の鈍化が予想されている。新規受注は改善傾向が続く見込みだが、その他部門は鈍化が見込まれている。市場予想前後であれば相場への影響は限定的とみられるが、予想を下回る弱さを示した場合や雇用部門の落ち込みが厳しい場合は1ドル=131円台に向けてドルが売られそうだ。
豪準備銀行政策金利
4月4日13:30
☆☆☆
 豪準備銀行(中央銀行)は金融政策委員会の結果を4日に発表する。政策金利の市場予想は現行の3.6%での据え置きと0.25%利上げで分かれている。1、2月は豪消費者物価指数の伸び率が市場予想を下回り、昨年12月の前年比+8.4%から今年2月には前年比+6.8%へ減速した。こうした状況から専門家予想の約2/3が据え置きとなっている。ただ、利上げ予想の割合も無視できず、どちらになった場合でも相場に影響を与えるだろう。利上げ決定なら1豪ドル=0.68ドルに向けて豪ドルが上昇するだろう。
米雇用統計(3月)
4月7日21:30
☆☆☆
 前回2月は非農業部門雇用者数が前月比+31.1万人と市場予想の+22.5万人を大幅に上回った。しかし、失業率が3.6%と市場予想(前月比横ばいの3.4%)から悪化し、平均時給の伸びが前月比、前年比ともに1月を下回ったことから利上げ観測が後退し、ドル売りが広がった。
 情報通信技術(ICT)部門の弱さが目立ち、情報業は前月比-2.5万人と3カ月連続で減少した。また、1月に改善の兆しを見せた運輸・倉庫業が-2.2万人となった。一方、1月に雇用者が大幅に増加した娯楽・接客業は2月も+10.5万人と好調さを保ち、景気に敏感な小売業の+5万人とととに全雇用者の増加を支えた。
 今回は+24万人と、前回から雇用者の増加ペースが鈍化する見込み。市場予想通りなら昨年12月以来3カ月ぶりの低い伸びとなる。もっとも、+24万人は弱い数字ではない。新型コロナ流行前の2019年までの10年間は1カ月平均が18.3万人増となっており、20万人超えが強さの目安だった。失業率は前回と同じ3.6%が予想される。こちらもかなり強めの水準と言える。2月まで3カ月続けて労働参加率が改善しており、米国の雇用市場は依然として堅調だとの印象が強い。市場予想前後の数字が出てくると、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利上げ観測を補強し、1ドル=135円に向けてドルの上昇が強まりそうだ。

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