2023年07月18日号

(2023年07月10日~2023年07月14日)

先週の為替相場

ドル安円高の流れ続く

 先週(7月10-14日)のドル円相場は、先々週後半から優勢となったドル安円高の流れが継続する展開となった。ドル円は6月30日に心理的な節目となる1ドル=145円の大台を一時付けた後、いったん144円台を中心とした推移が続いた。7日に発表された米雇用統計を前に、これまでのドル高局面で積み上がったドル買いポジションを整理する動きが強まり、さらに米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことでドル売りがさらに強まる形となった。

 7日に142円00銭台を付けたドル円は、週明け10日の市場でいったん買い戻しが入り、143円台を回復したが、その後再びドル安が優勢となった。

 12日発表の6月米消費者物価指数(CPI)の伸びが弱いものになるとの思惑がドル売りを誘ったほか、海外勢を中心に今月27-28日の日銀金融政策決定会合においてYCCが修正されるとの観測が広がったことが、ドル安円高につながった。

 米CPIの発表前、12日の東京市場で節目となる140円を割り込むと、ストップロス注文を巻き込んで139円30銭台までドル安円高となった。注目された米CPIは市場予想を下回る伸びとなり、ドル売りが加速。138円00銭手前の買いにいったんドル売りが収まったが、139円手前からドル売りが出るなど、ドルの上値が重い展開となった。13日に発表された米生産者物価指数(PPI)が前日のCPIに続いて弱い伸びとなったこともあって、再びドル安が強まると、5月17日以来のドル安円高となる137円25銭を付けている。

 もっとも月曜日の東京市場が海の日で休場となる中、過熱気味のドル売り円買いを警戒する動きが見られ、138円台を回復して先週の取引を終えた。

 ユーロドルでもドル売りが優勢となった。先週序盤は1ユーロ=1.10ドル台でのユーロ買いには慎重姿勢が見られたが、12日の米CPI前後のドル売りの勢いが強く、大きく上昇した。4月から5月にかけてのユーロ高局面で上値を抑えた1ユーロ=1.11ドル手前のユーロ売りをこなして、年初来高値を更新すると、ユーロ高ドル安が加速。1.12ドル台に乗せた。

 ユーロ円はドル円の下げを受けて12日に1ユーロ=153円40銭台と6月16日以来のユーロ安円高圏を付けた。米CPI後はユーロドルでのユーロ高ドル安が支えとなって反転。14日に156円台を付けるところまでユーロ高となった。

今週の見通し

 7月25-26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、27日のECB理事会、27-28日の日銀金融政策決定会合を前に、やや不安定な動きとなっている。7日の米雇用統計や12日の米消費者物価指数のような市場が注目する経済指標の発表予定もなく、方向感をつかみにくい展開。

 米国のインフレ鈍化が見られるが、今月のFOMCでの0.25%利上げ自体は確実視されている。その後の追加利上げがあるかどうか、市場は声明や会見でのFRBの姿勢を確認したいという意識が強く、事前に動きが出にくい展開となっている。15日からブラックアウト期間(用語説明2)に入っており、FOMC関係者からの発言予定がないことも、材料不足感につながっている。

 ドル円は137円台から140円にかけてのレンジ取引が中心となりそう。海外勢を中心に今月の日銀会合でのYCC修正を期待する動きが広がっていることがドル売り円買い材料となっているが、日本勢は現状維持を見込んでおり、下がるとドル買いが出る流れと見られる。

 ユーロドルは年初来高値をしっかり超えて、上をトライしやすい流れとなっている。ただ6日の1.08ドル台前半からの上昇において、目立った調整局面が見られず、短期的にはやや行き過ぎ感がある。ある程度の調整を交えながらの展開になる可能性に注意したい。

用語の解説

米生産者物価指数 米生産者物価指数(PPI : Producer Price Index)は米国内の商品やサービスの販売業者の販売品目の価格変化を測定した指数。16000を超える施設及び他のソースからのデータを加え約64000件の価格見積もりを元に、約10000品目の価格指数を算出している。米CPIと同じく米労働省労働統計局(BLS)が発表している。CPIに比べると注目度がやや低いが、重要な物価統計の一つ。
ブラックアウト期間 中央銀行による金融政策会合前後の一定期間、会合に参加するメンバーに対して金融政策に関する発言を禁止するルールをブラックアウトと呼び、その期間をブラックアウト期間と呼ぶ。日本の場合、会合の2営業日前から当日の総裁会見終了までが当該期間となる。米国の場合はFOMCが開催される前々週土曜日から会合終了までが期間となる。

今週の注目指標

米小売売上高(6月)
7月18日21:30
☆☆☆
 米国のGDPの約7割を占める個人消費の動向を表すものとして注目を集めている指標。市場予想は前月比+0.5%、変動の激しい自動車を除いたコアが前月比+0.4%と、それぞれ5月の+0.3%、+0.1%から伸びが強まる見込みとなっている。前回前月比+2.6%となり、全体を押し下げたガソリンスタンド売上の回復が見込まれていることもあり、市場予想前後の強い数字が出てくる可能性が高い。ただ、比較的市場予想からのブレが生じる指標であり、予想外に弱めに出た場合、ドル売りが強まる可能性がある。ドル円は137円台に向けた動きが見込まれる。
英消費者物価指数(CPI/6月)
7月19日15:00
☆☆☆
 19日に英国の物価統計(消費者物価指数:CPI、生産者物価指数:PPI、小売物価指数:RPI)が発表される。注目はインフレターゲットの対象であるCPI前年比。前回5月のCPIは市場予想の+8.4%を上回り、4月と同水準となる+8.7%となった。インフレターゲットである2%をはるかに超えた水準での高止まりを受けて、英中銀の積極的な引き締め姿勢への期待が強まった。今回の市場予想は前年比+8.3%と前回から伸びが鈍化見込み。ただ水準的にはかなり高く、市場の追加利上げ期待が継続すると見られる。市場は次回8月の会合での0.5%利上げを75%程度見込んでいる。CPIの結果、この期待がさらに強まるようだとポンド買いが見込まれる。ポンドドルは1ポンド=1.73ドル台への動きが期待される。
南ア中銀政策金利
7月20日
☆☆
 南アフリカ準備銀行(中央銀行)金融政策会合の結果が20日に発表される。会合終了後の発表となり、時刻は未定となっているが、22時10分から20分にかけての発表がほとんどとなっている。南ア中銀は前々回3月と前回5月の会合で、市場予想の0.25%利上げを超える0.5%利上げを決定した。南アの消費者物価指数は3月分が前年比+7.1%となるなど、高い水準での推移が続いており、中銀の引き締め姿勢につながっている。最新5月分も前年比+6.3%と依然高くなっているが、19日に発表予定の6月分は+5.5%までの鈍化が見込まれている。こうした状況を受けて今回は据え置きか0.25%の利上げで見方が分かれている。据え置きとなった場合は南アランド売りとなりそう。新興国通貨買いの動きもあって、直近の市場で節目の1ドル=18.00ランド割れを何度か試しているドルランドであるが会合結果次第で18.20ランド超えの動きが見込まれる。

auじぶん銀行外貨預金口座をお持ちのお客さま

ログイン後、外貨預金メニューからお取引いただけます

免責事項

本レポートは株式会社時事通信社が提供しています。また本レポートの内容は、株式会社時事通信社が提供する情報をもとに、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが執筆しています。本レポートは、情報提供のみを目的にしたもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。投資決定に当たっては、投資家ご自身のご判断でなされますようお願いいたします。株式会社時事通信社、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドおよび情報提供元は、本レポートに記載されているいずれの情報についても、その信頼性、正確性または完全性について保証するものではありません。また本レポートに基づいて被った損害・損失についても何ら責任を負いません。本レポートに掲載されている情報の著作権は、株式会社時事通信社および株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドに帰属します。本レポートに掲載されている情報を株式会社時事通信社の許諾なしに転用、複製、複写等することはできません。

Copyright(C) JIJI Press Ltd. All rights reserved.

auじぶん銀行からのご注意

  • 本画面に掲載されている情報は、auじぶん銀行の見解を代弁したものではなく、auじぶん銀行がその正確性、完全性を保証するものではありません。

以上の点をご了承のうえ、ご利用ください。