2023年11月27日号

(2023年11月20日~2023年11月24日)

先週の為替相場

ドル円は一時1ドル=147円15銭前後まで、その後149円台まで上昇

 先週(11月20日-24日)のドル円相場は、先々週後半からのドル安が21日まで続いた後、いったん反発。週の後半は23日の日米休場もあって落ち着いた動きとなった。

 13日に年初来高値を更新する1ドル=151円91銭を付けたドル円は、14日の米消費者物価指数(CPI)、15日の米生産者物価指数(PPI)、16日の米輸入物価指数(用語説明2)など、一連の物価関連指標の弱い伸びを受けてドル売りが強まった。

 週明け20日の市場は17日に149円20銭前後までドル安が進んだ反動もあって、いったんドル高が優勢で始まり、東京市場午前に149円99銭を付けた。150円台を回復しきれなかったことで、その後はドル売りが強まる展開となった。米債利回りの上昇一服などを材料にドル売りが進み、20日朝の水準を割り込んでポジション調整の動きが強まる形でドル売りが加速した。

 一連の米物価統計の弱さを受けて、利上げサイクルの終了見通しが強まっていることに加え、パウエル議長が否定的な2024年中の利下げ開始について、5月もしくは6月に開始されるとの見通しが強まる形でドル売りとなった。

 23日の米感謝祭(サンクスギビング)の休日と、市場自体は開いているものの休暇を取っている参加者が多く、例年、事実上の休場ムードとなる感謝祭翌日を含む米国の大型連休を前に、これまでのドル高に対する調整が入ったと見られた。

 21日の海外市場で147円15銭前後まで下落し、9月14日以来のドル安を付けた。英下院で議会証言を行ったイングランド銀行(中央銀行)のベイリー総裁とラムスデン副総裁(用語説明1)が、根強いインフレ圧力への警戒感を示し、現行の金利水準での維持がかなり長い期間必要との発言を行ったことで、ポンド高ドル安が進んだことも、ドル全面安に寄与した。

 安値を付けた後は、米債利回りの低下一服などを受けてドルの買い戻しが目立った。同日の米FOMC議事要旨(10月31日、11月1日開催分)において、インフレ鈍化の進展が不十分な場合は追加引き締めを検討すると、ややタカ派な姿勢を示したこともドル買いにつながった。

 その後はドル買いが優勢となり、22日の米新規失業保険申請件数が予想よりも好結果となったことや、11月のミシガン大学消費者信頼感指数確報値が速報値から上方修正されたことなどを材料に149円70銭台まで上昇した。

 23日は米感謝祭、日本も勤労感謝の日で休場。24日の米国市場は一応開いているものの、ブラックフライデーということもあり、休暇を取っている参加者が多く、閑散とした取引の中様子見ムードとなった。ドル円は149円台での推移が続いた。

 ユーロドルは先週前半のドル安局面で1ユーロ=1.0965ドルまで上昇。8月11日以来のユーロの高値を付けた。ドル円での円高の勢いが勝っており、ユーロ円ではユーロ安となり、同日161円25銭と11月8日以来の安値を付けている。

 その後はドルの反発を受けてユーロ安ドル高となり、22日に1.0850ドル台を付けたが、その後は対円でのユーロ買いなどに支えられ1.09ドル台を回復。24日に1.0949ドルを付けている。ユーロ円は24日に163円65銭まで上昇した。

今週の見通し

 感謝祭ウィーク明けの米国勢の出方が注目されるところとなっている。ドル円は13日に年初来高値151円90銭台を付けた後、147円台までドル安となったものの、その後149円台後半まで買い戻しが入った。ユーロドルなどでのドル安が続いており、米債利回りの低下傾向もあって、ドル高基調が一服し、トレンドが転換したとの見方がある一方、ドル円の底堅さから、先週前半までのドル円の下げは感謝祭前のポジション調整であり、流れはまだドル高円安という見方もある。

 年末に向けた次の方向性を慎重に見極める展開となりそう。今月のドル円は年初来高値を更新したものの、昨年秋に付けた1990年以来の高値を付けきれずに落ちてきており、流れ的にはドル高円安一服に見える。ユーロ円などクロス円も高値警戒感が強まっており、ここからの上昇は難しいのではとの見方がある。

 ただ、日米金利差を狙った取引が今後も続くとの期待もあり、下がると買いが出る流れとなりそう。ドル円は148円から150円にかけてのレンジを中心とした取引を見込んでいる。

 ユーロドルは1.10ドル前後での売りをこなせるかがポイントとなる。勢い的には1.10ドル超えを十分に狙えると見ているが、ユーロ円の164円台は売り注文が入っていると見られ、対ドルでも上値トライに慎重姿勢が広がる可能性がある。1.09ドル台での取引を中心に次の流れを見極めたいところ。

用語の解説

ラムスデン副総裁 デイブ・ラムスデン(Dave Ramsden)イングランド銀行副総裁。2017年7月より市場・銀行担当の副総裁に就任。昨年再任され2027年9月までの任期となっている。副総裁就任前は英政府主席経済アドバイザー及び英政府経済局(GES)局長を約10年務めた。
輸入物価指数 米労働省が毎月中旬に発表する米国が輸入した財・サービスの価格変動を指数化した指標。輸入時点での価格が対象となるため、出荷時点での価格が注目される生産者物価指数の先行指標として注目される。

今週の注目指標

中国購買担当者景気指数(PMI/11月)
11月30日10:30
☆☆
 中国国家統計局による11月の中国購買担当者景気指数が30日に発表される。市場予想は製造業PMIが49.8、非製造業PMIが51.1とともに10月分の49.5、50.6から上昇見込みとなっている。もっとも中国の不動産問題への警戒感が継続しているほか、シャドーバンキング大手中殖集団の巨額な資金不足報道などもあり、中国企業の景況感に対する警戒感が出ている。予想ほどの改善を見せなかった場合、中国売りが強まり、対中輸出の大きい豪ドルやNZドルの売りが強まる可能性がある。豪ドル円は1豪ドル=97円50銭割れをトライする展開が見込まれる。
米PCEデフレータ(10月)
11月30日22:30
☆☆☆
 米国のインフレターゲットの対象であるPCEデフレータ(10月)が30日に発表される。14日に発表された同系統の指標である米消費者物価指数(CPI/10月)は前月比、前年比ともに市場予想を下回る伸びとなった。PCEデフレータも弱めの結果が見込まれており、市場予想は前月比+0.1%、前年比+3.1%、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアデフレータは前月比+0.2%、前年比+3.5%といずれも9月から伸びが鈍化する見込みとなっている。
 CPI全体の伸び鈍化は、9月の前年比+3.0%から10月は同-5.3%まで落ち込んだガソリン価格を中心とするエネルギー価格の下落が主要因であった。エネルギーと食品を除いたコア指数の鈍化については、9月の前年比+7.2%から10月は同+6.7%まで伸びが鈍化した住居費の影響が見られた。同指標はCPI全体を100としたとき34.8%を占める大きな項目だけに、全体及びコア指数に与える影響が大きなものとなった。
 PCEデフレータも基本的に同系統の指標である伸びの鈍化が見込まれる。ただ、伸び鈍化の大きな要因となった住居費について、PCEデフレータはCPIに比べて全体に占める割合がかなり小さくなっている。その影響もあって市場予想ほどの伸び鈍化を示さなかった場合、ドル高が進む可能性がある。ドル円は150円台への上昇が見込まれる。
米ISM製造業景気指数(11月)
12月2日0:00
☆☆☆
 米供給管理協会(ISM)による11月の製造業景気指数が2日午前0時に発表される。前回10月分は9月から横ばいの49.0という市場予想に対して、46.7まで低下した。10月31日に151円70銭台付けたドル円は、11月1日発表の同指標の弱さからドル売りが強まり、11月3日発表の米雇用統計の弱さもあって、3日に150円20銭を付ける展開となった。
 今回は47.7と若干の改善が見込まれているが、好悪判断の境となる50はまだ遠いという印象がある。前回は雇用部門が4.4ポイントの低下となり、全体を押し下げた。ただ、前回の弱さは労使交渉が難航していた自動車産業の影響があるのではとの見方がある。労使協定が結ばれた後となる今回は改善している可能性がある。
 予想を超えた改善を見せるとドル買いにつながり、ドル円は150円台にしっかり乗せ、上値を試す流れが予想される。

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