2024年01月15日号

(2024年01月08日~2024年01月12日)

先週の為替相場

一時ドル高強まるも、週後半にドル売りが入る

 先週(1月8日-12日)のドル円相場は、いったんドル売りが強まったあと、注目材料である米消費者物価指数(CPI/12月)の発表前からドル高が強まった。米CPIが強めに出ると、ドル高がもう一段進み、昨年12月11日以来のドル高円安となる1ドル=146円41銭を付けた。その後はポジション調整のドル売りなどに144円台を付けている。

 5日発表の米雇用統計(12月)において雇用の伸びが予想を上回るなど強めの結果が示されたが、市場の3月利下げ開始期待がそれほど下がらず、ドル円は発表直後の上昇後に下落。8日からの週も5日米国市場午後のドル売りが継続して始まり、9日に143円40銭台を付けた。

 その後は11日発表の米CPIを控えドル高となった。これまでの米物価鈍化を主導したエネルギー価格の大幅な鈍化が、今回は落ち着いたものになるとの見通しが広がっており、前年比で11月から伸びが強まるとの見込みが、米国の早期利下げ期待を抑えるとの思惑がドル買いにつながった。

 1日に発生した能登半島地震を受けて日銀の早期マイナス金利解除期待が後退しており、米利下げ期待の後退と日本のマイナス金利解除(利上げ)期待後退の両面から日米金利差の縮小懸念が後退。ドル高円安につながった。

 米CPIは前年比+3.4%と11月の+3.1%、市場予想の+3.2%を超える伸びとなった。食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+3.9%と11月の+4.0%からは伸びが鈍化も、市場予想の+3.8%を超える伸びとなった。ドル円は145円30銭前後発表を迎え、結果を受けてドルが急騰、146円41銭を付けた。

 しかし、3月の米利下げ開始期待がCPIの強い伸びを受けても後退せず、金利先物市場動向から計算された政策金利見通しを示すCMEFedWatchツールでの利下げ確率が約8割を示す中で、高値からドル売りが入った。

 CPI翌日12日に発表された米生産者物価指数(PPI)は前月比が予想外のマイナス、前年比も市場予想の+1.3%に対して+1.0%に留まり、予想を下回る伸びとなった。この結果を受けてドル売りが強まり、ドル円は144円36銭を付けた。

 ユーロドルは1ユーロ=1.09ドル台での推移が続いた。9日に対円でのユーロ売りなどに押され1.0911ドルを付けたが、1.0900ドル割れを試す勢いが見られず、米債利回りの低下などに1.09ドル台後半までユーロ高ドル安となった。

 米CPI発表前に1.0990ドル台と1.1000ドルに迫ったが、米CPIを受けたドル高に1.0930ドル台へ下落。直ぐにユーロ買いが入り、発表前の水準に戻したが、1.1000ドルには届かず。

 5日の米雇用統計後のドル円の上昇局面で、ユーロ円は1ユーロ=159円00銭前後が重く、上値を抑えたこともあり、8日からの週はいったんユーロ安円高が優勢となった。

 9日に157円21銭を付けたが、その後はドル円の上昇もあってユーロ高円安となった。米CPI後にドル円が146円40銭台の高値を付けた前後にユーロ円は160円10銭台まで上昇。節目の160円台にしっかり乗せ、12月1日以来のユーロ高となった。

 その後はドル円の下げもあってユーロ円でも円高となり158円50銭台を付けた。

今週の見通し

 米国の早期利下げ期待が継続しており、ドル円はやや上値が重い展開となっている。海外勢を中心に根強く残っていた1月の日銀金融政策決定会合でのマイナス金利解除期待が後退している点はドル買い円売り材料であり、下値も限られるか。

 今週はそれほど大きな米経済指標の発表予定などがなく、144円から146円のレンジを中心とした取引から、じっくりと次の方向性を探る展開が見込まれる。

 米CPI後の買いが一服したことで、上値一服感が出ており、下方向のリスクがやや高いと見ている。144円を割り込むような動きが出てくると、流れが変わる可能性。ただ、現状ドル売りを一気に進めるだけの勢いも見られない。

 ユーロドルは1.09台を中心とした推移が続くとみられる。今週開催される世界経済フォーラム年次集会(通称ダボス会議)(用語説明1)にラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁や、ナーゲル・独連邦銀行総裁(用語説明2)らが出席する予定となっており、発言の中で市場の早期利下げ開始期待をけん制してくる可能性があるが、ユーロ高の影響は限定的なものにとどまると見られる。

 ユーロ円は先週160円台を一時付けたことで上値一服感が出ている。ただユーロドルのレンジ取引が続く中、大きな動意は見られず、次の方向性を探る展開が続きそう。

用語の解説

世界経済フォーラム年次集会(通称ダボス会議) ドイツの経済学者であるクラウス・シュラブにより1971年に創立された国際機関である世界経済フォーラムの年次総会。スイス東部ダボスで開催されることから、ダボス会議と呼ばれる。欧州を中心に世界各国の企業経営者、首脳、中銀関係者、学識者などが集まる。今回のテーマは「信頼の再構築へ」。
ナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁 ヨアヒム・ナーゲル(Joachim Nagel)、1966年ドイツ・カールスルーエ生まれ。カールスルーエ大学卒業後、同大学研究員を経てドイツ社会民主党(SPD)の金融・経済コンサルトなどを務めた。カールスルーエ大学に戻って同大学で博士号を取得。1999年にドイツ連邦銀行に入行。市場部門の責任者などを務めた後、ドイツ開発銀行(KfW)、国際決済銀行(BIS)などの勤務を経て、2022年1月より現職。

今週の注目指標

アイオワ州共和党党員集会
1月15日
☆☆
 今年11月に行われる米大統領選挙の候補者を決める予備選が、15日のアイオワ州での党員集会で始まる。複数の世論調査ではトランプ前大統領の支持率が53.6%と、2位のニッキー・ヘイリー元国連大使の17.2%の3倍以上と、圧倒的なリードとなっており、波乱要素はほぼない。
 民主党は今回の予備選からこれまでのアイオワ州スタートの方針を変更。同州は郵送投票で候補者を決定する方針を取り3月の情勢判明となっている。
 これまでの大統領選であれば、アイオワ州での党員集会前後から全米で選挙ムードが広がり、候補者の状況次第で相場が影響を受けるケースが見られた。今回共和党はトランプ前大統領の支持率が圧倒的。民主党は現職のバイデン大統領の勝利が濃厚となっており、前回に続いてのトランプ共和党候補対バイデン民主党候補という対決が見込まれており、相場への影響は限定的。ヘイリー氏と支持率3位のデサンティス・フロリダ州知事のどちらかが予想以上の善戦を見せ、今後の選挙戦でトランプ氏を脅かすという期待が広がるようだと相場にも影響が出る可能性がある。
英消費者物価指数(CPI)(12月)
1月17日16:00
☆☆☆
 17日に12月の英国物価統計(消費者物価指数、小売物価指数、生産者物価指数)が発表される。注目はインフレターゲットの対象でもある消費者物価指数(CPI)前年比。2022年10月に付けた前年比+11.1%をピークとして鈍化傾向にある英CPIであるが、前回11月時点で前年比+3.9%と、インフレターゲットの2%までまだ遠く、米、ユーロ圏などと比べて鈍化が遅れている印象がある。ただ、9月の+6.7%、10月の+4.6%、11月の+3.9%と鈍化率ここに来てかなり順調な鈍化を見せており、市場はこの流れが続くようだと、英中銀が今年の早い段階で利下げを実施すると期待している。
 ただ、今回の市場予想は前年比+3.8%とかなり小幅な鈍化に留まる見込みとなっている。米CPIなどと同様に前回まで見られたエネルギー価格の大幅な低下が抑えられるとの見通しが出ている。予想を上回る伸びを示すと、短期金利上で現状30%程度の織り込みとなっている3月の利上げ開始期待が後退するだけでなく、約80%が織り込む5月までの利下げ開始期待が後退し、ポンド買いが強まる可能性がある。ポンドドルは1ポンド=1.2800ドル超えが期待される。
米小売売上高(12月)
1月17日22:30
☆☆☆
 前回11月の米小売売上高は前月比+0.3%と、市場予想の-0.1%に反して2カ月ぶりの増加となった。ただこの販売増は物価高が進む中で、年末セールでの値下げ品に対する需要が高まったものとの見方があり、個人消費動向自体はそれほど強くないとの警戒感がる。
 今回の市場予想は前月比+0.4%と前回を超える伸びが期待されている。こちらは12月好調だった自動車販売の影響が大きい。自動車を除いた前月比の見通しは+0.2%と11月と同水準が見込まれている。
 個人消費動向に強く関係する米雇用統計が比較的強めに出たこともあり、予想前後の伸びが見られると、米景気に対する警戒感がやや後退する可能性がある。ただ、予想を下回る伸びに留まった場合は、米国の早期利下げ期待に結びついてドル売りにつながる可能性がある。ドル円は143円台に向けた動きが見込まれる。

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