2024年02月05日号

(2024年01月29日~2024年02月02日)

先週の為替相場

ドル安円高から一気に反発

 先週(1月29日-2月2日)のドル円相場は、週後半までドル安円高が優勢となったが、2日の米雇用統計を受けてドルが一気に反発した。

 29日の市場は1ドル=148円台でスタート。24日以来のドル高となる148円34銭を付けた。その後は米連邦公開市場委員会(FOMC)や米雇用統計などの注目イベントを前にした利益確定のドル売りなどが入り、30日海外市場で147円00銭台を付けた。

 同日の米雇用動態調査(JOLTS)求人件数や、米コンファレンスボード消費者信頼感指数がともに好結果となり、147円90銭台までドル高となった。12月のJOLTS求人件数は902.6万件と、市場予想の875万件を大きく上回り、企業の旺盛な労働需要を印象付けた。コンファレンスボード消費者信頼感指数(用語説明1)は114.8となり2021年12月以来の高水準となった。内訳の中で雇用部門の回答として、雇用が十分にあると答えた割合が3カ月連続で上昇したことも、2日の米雇用統計の期待を高める材料としてドル高となった。

 その後147円台での推移を経て、米FOMC前にいったんドル安となった。31日発表の1月米ADP雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことや、月末ということで実需がらみでのドル売りが出たことなどが重石となり、146円00銭台を付けた。同日米国市場午後に結果が発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)は、市場予想通り政策金利の現状維持となった。会合後のパウエル議長会見では「3月利下げの可能性が高いとは考えていない」などの発言があり、147円40銭台までドル高となった。

 もっともFOMC後のドル高が一服すると、ドル売りが優勢となった。上値の重さが意識される中で、1日の市場で146円を割り込む場面が見られた。同日の米ISM製造業景気指数が予想を上回る好結果となったが、ドル高が抑えられ、ドルの重さが意識された。

 少し戻して146円台半ば前後で迎えた2日発表の1月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比35.3万人増と市場予想の18.5万人増を大きく上回った。12月から悪化見込みであった失業率が前月と同じ3.7%に留まり、平均時給が前月比0.6%増と2022年3月以来の増加になるなど、総じてかなり強い結果となった。

 米雇用統計を受けてドル高が一気に強まり、148円50銭台まで上昇。週の初めの高値148円34銭からじりじりと進んだドル安分をすべて解消する動きとなった。

 ユーロドルは1ユーロ=1.08ドル台を中心とした推移から、週末の米雇用統計を受けて1.07台後半で週の取引を終えた。

 29日の市場ではDAX指数(用語説明2)の弱さもあって1.0796ドルを付けたが、すぐに1.08台に戻した。1.0850超えではユーロ売りが出る展開で、31日にフランス消費者物価指数の弱い伸びを受けたユーロ売りに1.0806ドルを付けた後、ドイツ雇用統計の堅調な結果などを好感してユーロ買いが入り、さらに米FOMC前のドル売りに1.0880ドル台まで上昇。FOMC後はドル高が強まり、1.0780ドル前後を付けた。

 市場予想通り政策金利を据え置いた1日の英中銀金融政策会合では、投票結果が6名据え置き、2名利下上げ、1名利下げと、三様の投票内容となった。声明や会見での早期利下げ開始に否定的な姿勢もあり、ポンドが対ドルで買われると、ユーロドルも連れ高となった。

 米雇用統計前の調整もあって1.0898までと先週の高値を付けたが、米雇用統計を受けたドル高に1.0780台までユーロ安となり、ほぼ安値圏で週の取引を終えた。

 ドル主導の展開が目立ち、ユーロ円は不安定な動き。1ユーロ=160円80銭台で先週の取引をスタート。ドル円の重さもあり、売りが目立つ展開となり、ドル円が145円90銭前後を付けた1日の市場で158円00銭台までユーロ安となった。その後は対ドルでのユーロ買いもあってユーロ高が優勢。米雇用統計後はドル円の上昇が支えとなり、160円20銭台を付けた。

今週の見通し

 米国の早期利下げ期待が後退しており、ドルが買われやすい地合いとなっている。先週の米FOMCと米雇用統計を受けて、3月の利下げ期待が大きく後退。短期金利市場で100%織り込まれていた5月までの利下げ開始についても、80%程度まで下がってきており、ドル高の材料となっている。

 ドル円は節目の150円を意識する展開。今週は目立った米経済指標の発表がなく、先週のイベントをこなして生じたドル高の流れが継続する可能性が高い。

 ただ、先週はドル安円高が進んだ後に、一気にドル高が進んだ。勢いの強さもあって148円台後半からのドル買いには少し警戒感が見られる。いったんはポジション調整のドル売りが入る可能性があり、147円台でドル買いがどの程度出てくるのかを確認したいところ。147円台半ば前後がしっかりするようだと、150円に向けた流れが強まると見ている。

用語の解説

コンファレンスボード消費者信頼感指数 米国の経済団体、労働組合などで構成される非営利の民間調査期間であるコンファレンスボード(全米産業審議会)が、消費者に対するアンケート調査を基に消費者マインドを指数化した指標。アンケート対象が5000人と同様の指標であるミシガン大学消費者信頼感指数などに比べてかなり多く、信頼度が高いことなどから、重要視されている。
DAX指数 ドイツのフランクフルト証券取引所の上場銘柄の内、主要40銘柄を対象としたドイツを代表する株価指数。ドイツ語表記でのドイツ株式指数(Deutsche Aktien Index)からDAX指数と呼ばれる。フランクフルト証券取引所を運営するドイツ取引所の子会社STOXXが運営している。

今週の注目指標

米ISM非製造業景気指数(1月)
2月6日00:00
☆☆☆
 1月の全米供給管理協会(ISM)非製造業景気指数が5日に発表される。1日に発表された同製造業景気指数は市場予想の47.0、12月の47.1に対して49.1となった。15カ月連続で好悪判断の境となる50を下回ったが、市場予想と比べるとかなりの好結果となった。新規受注が12月の47.0から52.5まで改善しており、全体を押し上げた。非製造業景気指数の市場予想は52.0と12月の50.6から上昇見込み。前回12月分は雇用部門が43.3と11月の50.7から一気に悪化し、全体を押し下げた。今回は雇用統計の力強い結果もあり、雇用部門の回復が全体を支えると期待される。同製造業景気指数同様に予想を上回る伸びを示すと、米景気の底堅さへの期待からドル高が強まる可能性がある。ドル円は149円台乗せに向けた動きが期待される。
豪準備銀行政策金利
2月6日12:30
☆☆☆
 オーストラリア準備銀行(中央銀行)金融政策会合の結果が6日12時半に公表される。政策金利は現行の4.35%で維持される見込み。1月31日に発表された豪第4四半期消費者物価指数及び12月の月次消費者物価指数は、共に予想を下回る伸びとなった。前年比+4.1%と豪州のインフレターゲットである2%-3%には届いていないが、近い将来でのターゲット到達が期待される状況で、市場は早期の利下げ開始期待を強めている。声明や今回公表される回にあたっているSMP(金融政策報告)での物価見通しなどが注目されている。早期の利下げ期待を強めるような内容が見られると、豪ドル売りにつながる。豪ドルドルは1豪ドル=0.6400ドルに向けた動きが見込まれる。
クーグラーFRB理事講演
2月8日01:00
☆☆
 先週米FOMCが開催され、FOMC前に関係者発言が原則禁止されるブラックアウト期間が明けたこともあり、今週はFRB関係者の発言予定が目白押しとなっている。その中でも注目はクーグラー理事の講演。米シンクタンクのブルッキングス研究所主催イベントでの講演はテーマが米経済と金融政策の見通しとなっている。同氏は昨年9月の就任以来目立った姿勢の表明がなく、市場はタカ派、ハト派の判断が付きかねている。一部で見込まれているように同氏のハト派姿勢がはっきりし、早期利下げに前向きな姿勢が見られると、ドル安の材料となる。ドル円は147円台への動きが期待される。

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