2024年02月13日号

(2024年02月05日~2024年02月09日)

先週の為替相場

ドル高円安優勢

 先週(2月5日-2月9日)のドル円相場は、ドル高円安が優勢となった。2日の米雇用統計の強い結果を受けてドル円は1ドル=146円台から148円台半ば超えまで上昇。先週前半は149円手前のドル売りに上値を抑えられる形となり、147円63銭を付ける展開となったが、その後ドル買いが強まり、9日に11月27日以来のドル高となる149円58銭を付けている。

 4日米国東部時間午後7時(日本時間5日午前9時)からの米CBSの「60MINUTES」(用語説明1)でパウエル米FRB議長のインタビューが放送され、その中で3月の利下げに消極姿勢を示した。ドル円は先週初めからドル高が優勢で、2日の高値を超えて148円90銭を付けた。149円手前のドル売り注文を崩せず、148円台での推移となった後、米債利回りの下げなどを材料に利益確定のドル売りが強まり、7日に147円63銭を付けた。

 8日に奈良での金融経済懇談会に出席した内田日銀副総裁が「マイナス金利を解除しても、どんどん利上げしていくようなパスは考えにくく、緩和的な政策を維持していく」などをと発言したことを受けて、円安となった。市場の期待する日銀のマイナス金利解除が実施されても、日米金利差を狙った取引が当面継続するとの思惑が広がった。ドル円はその後もドル高円安傾向となり9日に149円58銭を付けた。

 ユーロドルは2日の米雇用統計後のドル高を受けて、5日に1ユーロ=1.0723ドルまでユーロ安ドル高となった。上値が重い展開から6日もユーロ安トライとなったが、同じく1.0723ドルで下値を止められると、その後は利益確定のユーロ買いが優勢となった。

 1.0800ドル手前が重く、8日のドル高局面で1.0789ドルから1.0742ドルまでのユーロ売りが入ったが、すぐにユーロ買いが入り、9日に1.0795ドルを付けている。

 ユーロ円は先週前半にドル円が149円手前で上値が抑えられる中でユーロドルが下値を試したことで、1ユーロ=159円台での推移から、158円92銭を付ける場面が見られた。その後はドル円の上昇に支えられ9日に161円20銭台までユーロ高となった。

 その他の通貨では、豪ドルが市場予想通り据え置きを決めた6日のオーストラリア準備銀行(中央銀行)金融政策会合の声明で物価高への警戒が印象的となったことや、中国当局の株価対策報道に豪ドル高となった。5日の1豪ドル=0.6469ドルから7日に0.6541ドルまで上昇。その後は0.6500ドルを挟んでの推移となった。

今週の見通し

 米国の早期利下げ期待が後退しており、ドル高が入りやすい地合いとなっている。短期金利(オーバーナイトインデックススワップ)市場で、昨年末時点で約90%、今年1月12日時点でも80%近い織り込みとなっていた3月の利下げ開始期待は、直近13%程度まで大きく低下。据え置きを織り込む勢いとなっている。短期金利市場で100%の織り込みとなっていた5月までの利下げ開始についても、直近72%まで低下している。短期金利先物市場では5月の利下げ期待がより低下しており、直近で57%程度となっている。こうした早期利下げ期待の後退がドル買いにつながっている。

 13日の米消費者物価指数や15日の米小売売上高の結果、早期利下げ期待がさらに後退するようだと、ドル高が強まる可能性が高い。心理的な節目である150円を超えていく可能性が高く、2022年10月、2023年11月と2度上値を抑えた151円90銭台超えも視野に入ってくる。

 株高の動きからリスク選好の円売りも入っており、ドル円の支えとなっている。2日の米雇用統計後の一気のドル高に対する警戒感もあり、米消費者物価指数などの結果次第ではいったんドル高の調整が入る可能性があるが、中期的な流れはまだドル高円安方向と見ている。

 ユーロドルでもドル高基調が継続。先週前半に2度1.0723ドルでユーロ安進行を止められたことで、少し警戒感が出ているが、1.08台を買い上げる勢いが見られず、再びユーロ安ドル高を試す可能性が高そう。1.06ドル台に向けた動きが見込まれる。

 ドル主導の展開が優勢で、ユーロ円などクロス円はやや不安定な動き。ただ、世界的に株高が進む中、基本的にはしっかり。1月19日に付けた年初来高値161円86銭を意識する展開が見込まれる。

用語の解説

60MINUTES 1968年に放送が開始された米三大ネットワークの一つCBSの看板番組。キャスターを中心にインタビューや記者のレポートなどを織り交ぜて構成されるニュースショー番組の一つ。
金融経済懇談会 日本銀行の金融政策委員などが年に数回、全国各地を訪れ、その県の各界代表らと意見を交換する会。奈良県では2020年2月以来の開催となった。

今週の注目指標

米消費者物価指数(CPI)(1月)
2月13日
22:30
☆☆☆
 前回12月の米CPIは前年比+3.4%と、11月の+3.1%から伸びが加速した。市場予想の+3.3%と比べても強い伸びとなった。食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+3.9%と、11月の+4.0%から伸びが小幅ながら鈍化したが、こちらも市場予想の+3.8%を上回った。前月比は+0.3%(2月9日発表の改定で+0.2%に下方修正)と9月分以来の高い伸びとなった。
 前回の内訳をみると、エネルギー価格が前年比が-2.0%と11月の-5.4%からマイナス幅を大きく縮めた。なかでもガソリン価格は11月の-8.9%から-1.9%までマイナス幅の縮小となった。食品価格は前年比+2.7%と11月の+2.9%から鈍化。2022年8月をピークに16カ月連続での伸び鈍化となった。エネルギー価格の鈍化一服が全体を押し上げた形。 
 コア指数は財部門が11月の横ばいから+0.2%となった。14カ月連続でマイナスとなった中古車価格は11月の-3.8%から-1.3%にマイナス幅が縮小しており、財部門の押し上げに寄与した。サービス部門は全体を100としたとき、その34.8%を占める大きな部門である住居費が11月の+6.5%から+6.2%となった。
 今回の予想は前年比+2.9%、コア前年比+3.7%と12月から鈍化見込み。前月比は+0.2%、コア前月比+0.3%と12月と同程度の伸びが見込まれている。
 前回マイナス幅を大きく縮めたことで、伸び加速の要因となったガソリン小売価格は、12月から1月にかけて低下しており、今回は伸び鈍化に寄与すると見られる。住居費の伸び鈍化傾向も継続していると見られ、予想前後の伸び鈍化の可能性は十分にある。
 ただ、ブレがある程度出る指標であること、0.1%程度のブレであっても相場に影響する可能性があることなどから、予想からブレた結果になった場合は要注意。予想ほど伸びが鈍化しなかった場合はドル高が強まり、ドル円は150円をトライする可能性がある。
豪雇用統計(1月)
2月15日09:30
☆☆
 1月のオーストラリア雇用統計が15日に発表される。前回は雇用者数が前月比1.5万人前後の増加見通しに対して6.51万人の減少となった。正規雇用が10.66万人の減少となったことが要因で、発表後は豪ドル売りが出る場面が見られた。
 今回は2.5万人の増加見通しとなっている。正規雇用の回復から雇用の増加が見られると、豪ドル買いの材料となる。前回3.9%で11月から横ばいとなった失業率は4.0%に悪化見通しとなっているが、こちらは労働参加率の上昇が期待されているためで、それほど弱い印象はない。
 予想前後もしくはそれよりも強い結果が出てくると、豪ドルは対ドルで0.6600ドル超えをトライする展開が見込まれる。
米小売売上高(1月)
2月15日22:30
☆☆☆
 米国の個人消費動向を示す1月の小売売上高が15日に発表される。前回12月は市場予想の+0.4%を上回る+0.6%と好調な売り上げを示し、米個人消費の活況さの認識から、3月の利下げ期待を後退させる材料となった。前回は自動車販売と無店舗小売(ネット販売)が好調で全体を支えた。
 今回の予想は前月比-0.1%と前回の反動もあってマイナスが見込まれている。前回好調となった自動車販売は、1月に米政府による電気自動車の購入奨励策の要件変更が行われたことを受けて、1月の購入予定を前倒しして12月に購入する動きがあったとの観測から厳しい数字が見込まれている。
 前回が強すぎた面があるだけに、予想前後であれば相場の反応は限定的なものになると期待される。ただ、ブレがかなり大きい指標だけに注意が必要。13日の米消費者物価指数が弱めに出て、小売売上高も弱く出ると、ドル売りが一気に進む可能性がある。ドル円は147円台に向けた動きが見込まれる。

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