2024年02月26日号

(2024年02月19日~2024年02月23日)

先週の為替相場

ややドル高円安も、慎重な動き

 先週(2月19日-2月23日)のドル円相場は、ドル高円安がやや優勢となり、23日に14日以来のドル高となる1ドル=150円77銭を付けた。もっとも直近高値151円89銭に届かず、利益確定売りが入るなど、上値追いには慎重な姿勢が見られた。

 週前半は150円を挟んでの推移。150円50銭前後が重く、利益確定のドル売りなどに149円69銭を付けた。もっともその後はドル高が優勢となった。22日の東京市場で植田日銀総裁が物価動向は「デフレではなくインフレの状態にある」と発言したことなどを材料に、日銀の早期マイナス金利解除期待が広がり、150円40銭台から150円00銭台を付ける場面が見られたが、すぐにドル高円安に復した。

 注目されていた米半導体大手エヌビディアの決算が強く、米株高から世界的な株高となった。日経平均がバブル時に付けた史上最高値を更新する中で、リスク選好の円売りがドル円の支えとなった。

 ユーロドルは対円でのユーロ買いもありしっかり。19日の1ユーロ=1.0760ドル台から22日に1.0888ドルを付けた。物価との関連から注目された10-12月期のユーロ圏妥結賃金は前年比+4.5%と、7-9月期の+4.7%から伸びが鈍化。発表直後に少しユーロ売りが出たが、影響は限定的でユーロの地合いの強さが意識された。独DAXや仏CAC40(用語説明1)といったユーロ圏の代表的な株価指数が軒並み史上最高値を付ける中で、欧州通貨買いが入りやすくなった。

 高値からは調整が入ったが、1.0800ドル台までの調整に留まり、大台を維持するなど、下がるとユーロ買い意欲が見られた。

 ユーロ円は世界的な株高を受けたリスク選好の円売りなどを支えにしっかり。今月初めからのユーロ高円安基調が継続している。22日に1ユーロ=163円47銭と昨年11月以来のユーロ高を付けた。

今週の見通し

 米早期利下げ期待後退によるドル高、世界的な株高を受けた円安などに、ドル円はしっかりとした展開。ただ、2022年10月、2023年11月に二度上値を抑えた151円90銭台が意識され、上値ではいったん売りが出る展開。150円後半からドル売りが入っており、一気の上昇には至らず。

 今後も慎重な動きが見込まれる。ただ、今週28日の米第4四半期GDP改定値、29日の米個人消費支出(PCE)デフレータ、3月1日の米ISM製造業景気指数など一連の米指標が強めに出て、米景気の底堅さが印象付けられ、物価高への警戒感が継続するようだと、ドル円はもう一段上昇を見せる可能性が十分にある。

 米株は強い数字が見込まれつつも、事前の期待が強かった分、発表後の動きに警戒感が広がっていた米半導体大手エヌビディアの決算が、予想以上に強く出て、発表直後はそれでも利益確定の売りがいったん出たが、その後力強く反発したことで、株高の流れが継続。リスク選好の円売りがまだ続くとの思惑も、ドル円の支えとなりそう。151円90銭台トライはまだ厳しい可能性があるが、151円台に乗せる動きは十分に期待できると見ている。

 クロス円も軒並みの上昇が期待される。特にユーロ円は対ドルでのユーロの堅調さもあり、上値トライの意識が強い。昨年11月に付けた164円30銭台を意識する展開を見込んでいる。

 豪ドル円、NZドル円なども上値期待が強い。ただ、先週NZドルは2015年1月以来の93円台を付けるなど、ここにきて上昇の勢いが強い。高値警戒感が少し出ており、調整の動きに注意したい。

用語の解説

仏CAC40 フランスを代表する株価指数。フランスのユーロネクストパリに上場する銘柄の中で、時価総額上位、且つ出来高の大きい40銘柄で構成される。構成銘柄は四半期に一度見直される。ロレアル、ダノン、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン、ルノーなどが入っている。
ISM製造業景気指数 全米供給管理協会(ISM:Institute for Supply Management)が購買および供給担当者に対するアンケート調査を基に発表する指標。新規注文、受注残、新規輸出注文、輸入、生産、サプライヤー納入、在庫、顧客在庫、雇用、価格の10項目について調査を実施。このうち新規受注(季節調整値)、生産(季節調整値)、雇用(季節調整値)、サプライヤー納入量、在庫(季節調整値)の5つを平均して製造業景気指数が導かれる。

今週の注目指標

NZ中銀政策金利
2月28日
10:00
☆☆☆
 ニュージーランド準備銀行(中央銀行)政策金利会合の結果が発表される。政策金利であるオフィシャルキャッシュレートは5.5%で据え置き見込みが大勢となっている。ただ、ここにきて利上げ期待が広がってきている。16日にオアNZ中銀総裁はインフレは依然として目標範囲を大きく上回っている。インフレは低下しているが、まだやるべきことがあると発言。市場の利上げ期待につながっている。また、オセアニアの大手金融機関ANZは今月に入って2月と4月にNZ中銀が利上げを行うとの見通しを示している。
 大勢の予想通り据え置きとなった場合はNZドル売りが見込まれる。1NZドル=0.6100割れトライが見込まれる。
米ISM製造業景気指数(2月)
3月2日00:00
☆☆☆
 1月は市場予想の47.0を超え、49.1と12月の47.1から改善した。ただ好悪判断の境となる50を15カ月連続で下回っている。これはリーマンショック時を超え、2000年8月から2002年1月に記録して以来となる。
 内訳をみると新規受注が12月の47.0から52.5へ大きく改善、生産も49.9から50.4と改善し、共に節目の50を超えてきている。一方弱かったのは雇用で12月の47.5から47.1と低下した。
 今回の市場予想は49.5と1月から改善も、50を下回る見込み。比較的好調な雇用部門に改善が見られ、予想を超えて節目の50も上回ってくると、米景気の底堅さへの期待が早期利下げ見通しを後退させる形でドル高が見込まれる。ドル円は2022年10月、2023年11月に二度上値を抑えた151円90銭台を意識する展開が見込まれる。

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