2024年04月08日号

(2024年04月01日~2024年04月05日)

先週の為替相場

ドル安円安の流れ

 先週(4月1日-5日)のドル円相場は1ドル=151円台での推移から一時調整も、その後151円台後半を付けるなど、一方向の動きにならず。3月27日に約34年ぶりのドル高円安となる151円97銭を付けた後、151円00銭台まで調整が入った後を受けて、151円台前半で週の取引をスタート。3日に151円95銭を付けたものの、152円手前のドル売りを崩せず。その後150円81銭を付けたが、米雇用統計の好結果もあり、151円70銭台まで上昇した。

 1日はイースターマンデーで多くの市場が休場となる中、先週末終値に近い151円30銭台で週の取引をスタート。同日の米ISM製造業景気指数が予想を超える好結果となり、17カ月ぶりに好悪判断の境となる50を超えたことで、ドル高となり151円70銭台まで上昇。

 その後もドル高圏推移が続き、3日の米ADP雇用者数(用語説明1)の力強い伸びもあって151円95銭と、3月27日の高値に迫る展開となった。同日の米ISM非製造業景気指数が製造業とは違い予想を下回る伸びとなり、ドル高一服となった。内訳のうち仕入れ価格が4年ぶりの低水準となったことで、インフレ鈍化が期待される形となり、早期の利下げ開始期待からのドル売りとなった。

 米ISM非製造業景気指数後のドル売り局面では151円50銭前後がしっかりとなったが、4日に入ってダウ平均が500ドル超の下げになるなど、株安の動きが広がり、リスク警戒での円買いが強まり150円81銭を付けた。中東情勢緊迫化に対する警戒感も円買いにつながった。

 米雇用統計を前に、ドル売りに対する調整が広がり、151円40銭台まで上昇。151円30銭台で雇用統計の発表を迎えると、予想を超える非農業部門雇用者数の伸びや、予想外の失業率の低下などの好結果に151円70銭台まで上昇した。

 ユーロドルは1日の米ISM製造業景気指数後のドル高に1ユーロ=1.0730ドル台までユーロ安ドル高となった。さらに、2日のECB消費者インフレ期待で1年先の見通しが前回から下方修正されたこともあり、1.0725ドルまで下げている。ユーロ円も1ユーロ=163円30銭台から162円62銭を付けている。

 その後はドル高一服もあって1.0770ドル台まで上昇。3日のユーロ圏消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化などが重石となったが、1.0760ドル前後がしっかり。その米ISM非製造業景気指数の弱さを受けたドル安に1.08ドル台を回復。4日のユーロ圏非製造業景気指数の好結果もあって1.0877ドルを付けた。対円でも164円92銭まで上昇し、節目の165円00銭が迫った。

 その後は米雇用統計を前にしたドル買いに上値を抑えられ、1.0840ドル台で米雇用統計を迎えると、米雇用統計後のドル高に1.0790ドル台を付けた。対円でのユーロ買いもあってすぐに戻すと、1.08台前半での推移となった。

 ユーロ円は165円手前の売りに上値を抑えられ、ポジション調整もあって163円50銭前後まで一時下げた。米雇用統計後はリスク選好の動きなどもあってしっかりとなり、164円40銭台を付けた。

今週の見通し

 米雇用統計の好結果もあり、これまで多数派となっていた6月の米FOMCでの利上げ期待が後退。金利先物市場動向からの政策金利見通しを示すCMEFEDWATCHでは6月会合での利下げと据え置きがほぼ拮抗勢という状況になった。2月初め時点でほぼ100%、3月会合後でも75%程度が利下げを見込んでいただけに、市場の見通しの変化が目立っている。

 ドル全般に対する大きな買い材料となっており、ドル円は節目の152円超えを強く意識する展開。介入警戒感などが上値を抑えているが、3月20日に151円台までドル高が進んだ後、かなりの時間が経っており、急激な相場の動きに対応という介入の前提からは152円前後での介入は難しいとの見方もあり、大台を超えに向けた動きが強まると予想される。

 10日の米消費者物価指数次第では流れが変わる可能性があり、発表までは積極的なドル高が難しい面があるが、下値しっかり感が強いこと、米10年債利回りの上昇が見られることなどから、流れはドル高と見られる。

 株式市場がしっかりしており、リスク選好の円売りが入りやすくなっていることも、ドル円の支えとなっている。

 ドル円の上昇に支えられて、ユーロ円などクロス円もしっかり。ユーロ円は3月に付けた165円30銭台が目先の目標水準となっている。

 ユーロドルは対円でのユーロ買いが支えとなっているが、ECBの早期利下げ期待もあって上値が重い。1.08台での推移を中心に次の流れを見極める展開。

 なお、いずれも据え置き見通しであるが、ECB、カナダ銀行(中央銀行)、NZ準備銀行(中央銀行)が政策金利を発表する。いずれも年内の利下げ開始が見込まれており、声明などが注目される。

用語の解説

ADP雇用者数 米国の人事給与計算アウトソーシング会社ADP(Automatiic Data Processing)が、自身の持つ2500万人以上の雇用データを基に発表する雇用レポートの中で示される月毎の雇用者数の変化。米労働省発表の非農業部門雇用者数のうち、民間部門の先行指標とされる。発表は米雇用統計の2営業日前。
リッチモンド連銀バーキン総裁 トーマス・バーキン(Thomas Barkin)リッチモンド地区連銀総裁。2018年1月より現職。米ハーバード大学で経営学修士及び法律の学位を取得。米大手コンサルティング会社マッキンゼーのシニアパートナー、最高リスク責任者などを務めた。また、2009年から2014年までアトランタ地区連銀の社外取締役となり、2013年から2014年まで取締役会議長に就任している。

今週の注目指標

米消費者物価指数(3月)
4月10日21:30
☆☆☆
 10日21時半に3月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。5日の米雇用統計の好結果もあり、6月の利下げ期待が後退。短期金利先物市場での6月FOMCでの政策金利見通しが利下げと据え置きで拮抗する中、利下げ実施に大きな影響を与える物価動向に注目が集まる。FOMCメンバーの発言を見ても、今年のFOMCでの投票権を持つリッチモンド連銀のバーキン総裁(用語説明2)が、年明けの状況が物価安定に向けた凸凹(バンプ)なのかを確認するためにも、3月のCPIが重要と発言するなど、米FOMC内で今回の指標が注目されていることが示されている。
 前回2月のCPIは前年比+3.2%と1月の+3.1%から小幅ながら伸びが強まった。市場予想は1月と同じ+3.1%となっていた。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+3.8%と1月の+3.9%から伸びが小幅鈍化した。予想は+3.7%への鈍化で、予想に比べて小幅な鈍化となっていた。前月比は+0.4%と1月の+0.3%を上回る伸びで市場予想とは一致。コア前月比は+0.4%と1月と同水準の伸びで市場予想の+0.3%を上回っていた。
 2月のCPI前年比の内訳をみると、エネルギー価格はガソリン価格の影響で下げ幅縮小となり、全体の伸びにつながった。コア部分では、住居費が1月の+6.0%から+5.7%に鈍化。全体の伸び鈍化につながった。
 今回の市場予想は前年比+3.4%と2月の+3.2%から上昇見込み。コア前年比は+3.7%と小幅鈍化見込み。エネネルギー価格、特にガソリン価格の上昇が全体を押し上げると予想される。3月のガソリン小売価格は全米全種平均で1ガロン=3.542ドルと、2月の3.328ドルから6.4%の上昇。比較対象元となる2023年の数字を見ると、2023年2月の前年比-2.0%から3月は-17.4%となっている。こうした状況から今回のガソリン価格は前年比でのマイナスが小さくなると見込まれる。
 コアに関しては住居費の低下傾向が続くと見込まれることから、小幅な鈍化見込みとなっている。ただ前回も見られた住居費を除くサービスの強さが加速しているようだと、横ばいもしくは2月よりも強い結果になる可能性がある。
 予想を超える伸びになると、利下げ開始の先送り期待が強まり、ドル高になる可能性。ドル円が152円台に乗せるきっかけとなる可能性がある。
米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月19、20日開催分)
4月11日03:00
☆☆☆
 市場予想通り政策金利を据え置いた3月のFOMC。声明は雇用増加の表現で前回会合で見られた「昨年初めから緩やかになった」の部分が削除されるなど若干のタカ派も、主要部分では変化が見られず。
 年4回公表される参加メンバーによる経済見通しでは、12月と比べて経済成長見通しが上方修正され、失業率が下方修正された。コアインフレは2024年分が上方修正された。年末時点での政策金利見通しの中央値は4.6%と12月と同水準となった。一部で政策金利見通しの上方修正が期待されていただけに、今回の議事要旨公表で、会合の中で各メンバーの示した姿勢が注目される。早期の利下げ開始に慎重な姿勢が目立つようだと、ドル高となる。ドル円は151円台前半でのドル買い意欲が強まりそう。
ECB理事会政策金利
4月11日21:15
☆☆☆
 政策金利は現状維持見込み。4月3日に発表された3月のユーロ圏消費者物価指数は前年比+2.4%と2月の+2.6%、市場予想の+2.5%を下回る伸びとなった。コアCPI前年比も+2.9%と2月の+3.1%、市場予想の3.0%を下回った。この結果を受けて早期の利下げ開始期待が強まっており、6月に利下げするとの見方が広がっている。今回の理事会での声明やラガルド総裁会見で早期利下げに向けた姿勢が示されるかが注目されている。利下げに向けた姿勢が印象的になると、ユーロ売りにつながる。ユーロドルは1.07台半ばに向けた動きが見込まれる。

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