2024年09月24日号

(2024年09月16日~2024年09月20日)

先週の為替相場

日米金融政策会合などで上下

 先週(9月16日-9月20日)のドル円は、日米の金融政策会合などを受けて不安定な動きを見せた。

 16日は先々週後半から続くドル安円高が優勢となった。17日、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%大幅利下げの期待などがドル売りを誘い、心理的節目である1ドル=140円00銭を割り込んで、139円58銭と昨年7月以来のドル安円高を付けた。

 140円を割り込んだことでいったん達成感が見られ、その後はドル買い円売りが優勢となった。16日海外市場で140円台後半を付けると、連休明けとなる17日東京市場午前に141円23銭を付けている。

 その後140円50銭を挟んでの推移を経て、17日海外市場でドル高が一気に進んだ。8月の米小売売上高が前月比+0.1%と市場予想の-0.2%に反してプラス圏となり、米個人消費の底堅さが意識されたことがドル買いにつながり142円47銭を付けている。

 米FOMCを前にしたポジション調整に141円20銭台を付けた後、142円00銭前後でFOMCの結果発表を迎えた。今回のFOMCでは約4年半ぶりの利下げ実施自体は完全に織り込み済みで、利下げ幅について0.25%と0.50%で見方が分かれていた。短期金利市場、金利先物市場では0.50%利下げの見通しがやや強かったが、専門家予想では0.25%が大勢という状況になっていた。結果は0.50%利下げとなり、140円45銭前後まで急落した。すぐに買い戻しが入ると、パウエル米FRB議長の会見などを受けてドル買いが優勢となり、19日東京午前に143円95銭を付けている。議長は会見で今後の利下げを急がない姿勢を示していた。

 その後142円00銭台を付けたものの、143円70銭台へ上昇するなど不安定な動きを経て、142円00銭前後で日銀金融政策決定会合の結果発表を迎えた。市場予想通りの据え置きとなった後、15時半の植田日銀総裁会見を前に円買いとなり141円台を付けた。

 会見では「円安に伴う輸入物価の上振れリスクは相応に減少」「利上げ判断に時間的余裕」などの発言があり、海外勢を中心に見られた早期の追加利上げ期待が後退し、円売りが一気に強まった。直近上値を抑えていた144円00銭手前の売りをこなし、144円50銭前後を付けている。高値圏からは利益確定の売りも、143円50銭前後がしっかりとなった。

 ユーロドルは11日、12日の1.1000台までのユーロ安局面で大台を割り込まなかったことでユーロ買いが優勢となった。米大幅利下げ期待を受けてのドル安もあり、17日に1.1140台まで上昇。その後1.11ドル台前半推移で米FOMCの結果発表を迎えた。0.5%の大幅利下げを受けて1.1189まで上昇もすぐに反落。19日東京市場午前に1.1069を付けるなど不安定な上下を経て再び1.1180前後を付けた。

 ユーロ円はリスク警戒の動きもあって16日に1ユーロ=155円10銭台を付けた後、一転してユーロ買い円売りが優勢となった。週後半のドル円での円売りもあり、20日に161円10銭台を付けている。

今週の見通し

 12日のECB理事会、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、19日の英中銀金融政策会合(MPC)、20日の日銀金融政策決定会合と、主要四通貨(用語説明1)の金融政策会合結果発表を経て、次の方向性を探る展開となっている。利下げを行った米、ユーロ圏、据え置きとなった英、日いずれも今後についてはやや慎重な姿勢。市場の早急な変化への期待をけん制する動きを見せた。

 米国の積極的な利下げ姿勢への期待と、日銀の早期利上げが期待されていたこともあり、ドル円はややしっかりの展開。先週139円58銭と昨年7月以来の安値圏を付けたことで、ドル安円高に一服感が出ていることも、ドル買い円売り意欲につながっている。

 ただ、今年前半のドル高円安を支えた円キャリー取引がここから復活するとは考えにくく、中期的な流れは下方向か。行き過ぎたドル安円高に対する調整が落ち着くと、再び下を意識する展開が見込まれる。

 今後についてはデータ次第という姿勢を示していることから、各通貨の重要指標、特に相場全体に影響を与える米指標の動向が注目される。今週はインフレターゲットの対象指標である米個人消費支出(PCE)デフレータや、第2四半期GDP確報値などの発表が予定されている。また、毎週発表される指標であるが、速報性の高い雇用関連指標として米新規失業保険申請件数(用語説明2)も注目されるところ。これらの指標動向をにらみながら、流れを見極める展開を見込んでいる。

 145円00銭前後が重くなると、再びの140円割れトライが意識されるところであるが、今週のトライはやや難しいという印象。今週は142円-145円レンジが中心となり、来週金曜日10月4日の米雇用統計に向けた流れが出るかが注目される。

 ユーロドルは1.1000-1.1200レンジでの取引が続く。次の方向性を探る展開。

 ユーロ円はドル円主導の展開か。

用語の解説

主要四通貨 国際決済銀行(BIS)が3年に一度行っている調査(Triennial Survey)によると、銀行間の外国為替取引における通貨別シェアの上位4位はドルが88%、ユーロが31%、円が17%、ポンドが13%(取引はドル円、ユーロドルなど一度の取引で2通貨あるため、合計は200%)。5位以下とそれなりに差がある。
新規失業保険申請件数 失業者が初めて失業保険申請を行った件数を米労働省雇用訓練局(ETA)が調査し、季節調整を加えて発表するもの。毎週木曜日に前週分を発表する。

今週の注目指標

スイス中銀政策金利
9月26日16:30
☆☆
 スイス国立銀行(中央銀行)の政策金利が26日に発表される。3月、6月に続いて3会合連続(スイス中銀の金融政策会合は年4回)の利下げが見込まれている。専門家予想は0.25%利下げでほぼ一致しているが、短期金利市場は0.50%利下げを45%程度織り込む動きを見せている。0.25%にとどまった場合は、声明などが注目される。今回の利下げでの打ち止めが意識されるとスイスフラン高となる可能性がある。ドルスイスは1ドル=0.8400スイスをしっかりと割り込む可能性がある。
自民党総裁選挙
9月27日
☆☆☆
 過去最多の9名による自民党総裁選挙が27日に投開票される。どの候補が勝利したかによる外国為替市場への影響を判断することは難しいが、有力候補の中には積極財政の姿勢を示す候補や、金融資産課税強化に前向きな候補なども見られ、株価動向などを通じて、為替市場にも影響が出てくる可能性が高い。
米個人消費支出(PCE)価格指数(8月)
9月27日21:30
☆☆☆
 米国のインフレターゲットの対象となる物価統計である個人消費支出(PCE)価格指数が27日に発表される。同系統の指標である8月の米消費者物価指数(CPI)は11日に発表され、前月比+0.2%、前年比+2.5%、食品とエネルギーを除いたコア指数の前月比が+0.3%、前年比+3.2%となった。総じて市場予想通りであったが、コアの前月比が予想を上回ったことが好感され、発表後はドル買いが優勢となった。前年比は7月の+2.9%から+2.5%に低下しているが、これは前年比-10.3%と大きく低下したガソリン価格が主な要因。ガソリンの低下を受けてエネルギー全体でも-4.0%となっている。コアの前年比は7月と同水準、自動車が相変わらず厳しい数字で新車は前年比-1.2%と6カ月連続でマイナス、中古車に至っては-10.4%となっており、マイナスは実に22カ月連続。直近3カ月続けて10%を超える低下となった。
 翌12日に発表された米生産者物価指数(PPI)は、前年比+1.7%、食品とエネルギーを除いたコア前年比+2.4%、前月比+0.2%、食品とエネルギーを除いたコア前月比+0.3%となった。前月比が総合、コア共に市場予想を上回る伸びとなっている。もっともPCEの算出に利用される項目は伸びが鈍く、ポートフォリオ管理手数料、外来診療費、入院費は横ばい、航空運賃は0.8%下落となった。
 こうした状況を受けた8月のPCE価格指数は前月比+0.1%、前年比+2.3%と共に7月から鈍化見込み、コアPCEは前月比+0.2%、前年比+2.7%と前月比が7月と同水準、前年比が7月より強めとなっている。コア前年比は5月に2.6%まで鈍化したものの、6月、7月と横ばい。インフレターゲットの2%に届かない状況が続く中、今回は小幅ながら反発となっている。予想前後であれば想定済みとなっているが、予想を超えて上昇が強まるようだと、11月の米FOMCでの0.5%利下げは難しいとの思惑が広がり、ドル買いにつながる可能性がある。ドル円は145円台に乗せてくる可能性がある。

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