2024年12月16日号

(2024年12月09日~2024年12月13日)

先週の為替相場

ドル高円安が優勢

 先週(12月9日-12月13日)はドル高円安が優勢となった。

 17日、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と18日、19日の日銀金融政策決定会合をにらむ展開。元々両会合とも見通しが分かれていたが、FOMCでの0.25%利下げと日銀会合の据え置き期待が強まった。米国の利下げは織り込み済みという意識が強く、1月以降の利下げペース鈍化などをにらむ展開。FOMCで示されるメンバーによる経済見通し(SEP)、中でもドットプロットでの2025年末時点の見通しが前回から上方修正されることで、利下げペース鈍化の思惑が強まるとの意識がドル買いを誘った。日銀会合は関係者筋情報などから今回は据え置かれ1月が本線という見方が強まっており、一時海外勢を中心に利上げを強く期待する動きが広がっていた分、調整の円売りが入った。

 ドル円は9日の1ドル=149円69銭から13日に153円80銭を付けた。米10年債利回りが9日の4.134%から13日に4.405%まで上昇しており、ドル高につながっている。

 韓国の政治不安などを材料に9日は円買いが強まる場面が見られ、東京朝に先週の安値となる149円69銭を付けた。同日、中国共産党中央政治局会議において「来年はより積極的な財政政策を実施、適度の緩和的な金融政策を実施」などと示されたことで、一転して円売りが強まった。10日に152円台を付けた後、11日の米消費者物価指数(CPI)発表を前にしたポジション調整に151円40銭台を付けた。

 11日日本時間夕方に日銀関係者発言として「一部政策委員は12月利上げ提案に反対しない見通し」などと報じられ、151円02銭まで急落。しかし続いて「円安の物価押し上げリスクが相対的に薄れている」「今月利上げ見送りでも物価加速リスク大きくない」などの発言が報じられたことで円売りとなり、152円80銭台まで上昇した。その後発表された米CPIは市場予想とほぼ一致。サプライズ感の乏しい結果に少しドル売りとなったが、影響は限定的にとどまった。

 その後日銀金融政策決定会合での利上げ見送り期待が広がり、円売りが強まると、11日の高値を超えて153円80銭前後まで上昇した。

 ユーロドルはじっくりと下を試した。フランスとドイツの政治的混乱などが重石となった。12日のECB理事会は市場予想通り0.25%の利下げを決定。声明ではこれまでの声明で見られた「必要な限り必要な長期金利を維持」の文言がなくなり、追加利下げを促すものとして、ユーロの重石となった。9日の1ユーロ=1.0590ドル台から13日に1.0450台を付けている。

 ユーロ円は対ドルでのユーロ売りとドル円での円売りが交錯。ドル円の勢いが勝り、9日の1ユーロ=157円80銭台から13日に161円50銭台を付けている。

今週の見通し

 注目された12月6日の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想を上回ったものの、失業率が予想通り悪化するなど、サプライズ感のある結果とはならず。市場は12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ期待を強めている。前回11月の利下げの後、株高などを受けて12月のFOMCでの利下げ期待が後退。短期金利市場での織り込みは、一時は30%程度となり、据え置き見通しが大勢を占める状況が見られた。その後利下げ期待が強まる中で、先週末の米雇用統計前には70%程度の利下げを織り込む動きとなっていた。雇用統計後は85%程度まで利下げを織り込む展開となっている。

 ただ、ドル円は比較的しっかりとしており、米利下げ期待にもかかわらずドル安は限定的。今月の日銀金融政策決定会合での利上げ期待が後退しており、円高一服の流れが強まっていることも、ドル円を支えている。

 FOMCと日銀会合次第であるが、流れはドル高円安方向と見ている。155円をトライする展開が十分にありそう。ただ、来週以降はクリスマス休暇に入る海外投資家が多くなる。行き過ぎた動きにも警戒感が入る可能性がある。

 ユーロドルは一時のユーロ売りドル買いから反発も、1.06ドル台でのユーロ買いに慎重。方向性を探る展開となっている。

 ユーロ円はドル円同様に円高リスクがやや高そうだが、対ドルでのユーロ買いもあって、動きが抑えられている。

用語の解説

ドットプロット 年8回開催される米FOMCのうち、3月、6月、9月、12月のFOMCでは結果発表と同時に参加している19名のメンバー(FRB理事と地区連銀総裁)の経済見通し(SEP)が公表される。GDP成長率、物価(PCEデフレータ前年比)、雇用(失業率)の予想に加え、年末時点での政策金利見通しも示される。各メンバーの政策金利見通しをドットにしてチャートで示したものがドットプロットとなる。今回の場合、2024年、2025年、2026年、2027年の各年末時点と、長期の政策金利水準見通しが示される。
中国共産党政治局会議 習近平国家主席や李強首相を含む24名の政治局常務委員及び政治局員による会議。原則毎月一回程度開催され、このうち年3回程度は経済政策に重点を置く会議となる。12月は経済政策中心の回にあたっており、注目を集めていた。

今週の注目指標

米連邦公開市場委員会(FOMC)
12月19日04:00
☆☆☆
 17日、18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。結果発表は日本時間19日午前4時、午前4時半からパウエルFRB議長の会見が予定されている。アフターコロナでの物価高対応で2023年7月の会合で政策金利であるFF金利翌日物を5.25-5.50%まで引き上げた米国。その後約1年超の据え置きを経て、今年9月のFOMCで利下げサイクル開始時としては異例の0.5%利下げを実施。11月には0.25%の追加利下げを実施し、現行は4.50-4.75%となっている。物価の鈍化傾向もあり、9月の大幅利下げ実施時点では、11月の追加利下げを経て、12月には再び大幅利下げを実施するのではとの期待が見られたが、トランプ氏が次期大統領に決定し、同氏の主張する関税強化などの保護主義と減税、補助金などの施策を受けて、物価高への警戒が強まったことで流れが変わり、一時は利上げ見通しが約40%、据え置きが約60%と据え置き見通しが過半数を超える状況まで見られた。
 ただ、米景気のソフトランディングに向けて、ある程度の利下げが必要との思惑もあり、その後再び0.25%利下げ期待が広がっている。今月6日の11月米雇用統計、11日の米消費者物価指数(CPI)はともに比較的しっかりしたものとなったが、サプライズ感があるほどの強さはなく、予定通り利下げ実施との思惑が広がる展開となっている。金利先物市場や短期金利市場での利下げの織り込みは95%前後となっている。
 サプライズで据え置きになると一気にドル買いが見込まれる。市場予想通り0.25%の利下げとなった場合は、同時に発表される経済見通し(SEP)の中の政策金利見通しが注目される。前回9月のドットプロットは2025年末時点で3.25-3.50%が見通しの中央値となっていた。また19名のメンバーのうち8名はそれ以下の水準を見込んでいた。現在金利先物市場や短期金利市場では来年末時点の政策金利水準について3.75-4.00%の見通しが大勢となっている。ドットプロットでも同程度まで見通しの上方修正があると、今後の利下げペース鈍化見込みからドル買いが見込まれる。ドル円は155円トライが意識される。
日銀金融政策決定会合
12月18日、19日
☆☆☆
 18日、19日に日本銀行金融政策決定会合が開催される。結果発表時刻は会合終了後で未定であるが、11時半から12時半の間になることが多く、12時半を過ぎると会合が紛糾しているという観測につながる。15時半から植田日銀総裁の会見が予定されている。日銀会合は利上げと据え置きで見通しが分かれていた。短期金利市場の織り込みをみると、先月あたりから利上げと据え置きの見通しがほぼ互角という展開が続き、今月に入ってハト派で知られる中村日銀審議委員が「利上げに反対しているわけではない」と発言したことなどを受けて、70%近くまで利上げ期待が強まるといった場面も見られた。
 もっとも、ここにきて今回は据え置きとなり、1月の会合で利上げを実施という見方が広がってきた。韓国情勢の不透明感や来年の春闘に向けた動きの確認などから、利上げを急ぐ必要はないとの見方が広がった。また、1月の会合前に氷見野副総裁が経済懇談会を予定している。1月会合前の開催は異例で、利上げを前にある程度の地ならしの場として利用するのではとの思惑につながった。直近では利上げ見通しが16%程度、据え置き見通しが84%程度と、据え置き見通しが圧倒している。
 利上げを実施すれば、サプライズで円買いとなり、151円台トライぐらいまでの大きな動きが期待される。大方の見通し通り据え置きとなった場合は、声明や会見で次回の利上げに向けた姿勢がどこまで示されるかがポイントとなる。市場の早期利上げ期待が後退するような慎重姿勢が見られると円売りとなり、156円トライの動きが見込まれる。
英中銀金融政策会合
12月19日21:00
☆☆☆
 イングランド銀行(中央銀行)金融政策会合(MPC)の結果が19日21時に発表される。政策金利は現行の4.75%での維持が見込まれている。英中銀は物価高対応で5.25%まで金利を引き上げた後、今年8月1日に0.25%の利下げを実施。9月の据え置きを経て、前回11月7日の会合で追加利下げを実施した。11月20日に発表された10月の英消費者物価指数(CPI)は前年比+2.3%と9月の+1.7%から一気に伸びが強まった。市場予想を超える物価の伸びもあり、今回いったん据え置きに回り、2月6日に追加利下げを実施するとの見通しが広がっている。
 今回は総裁会見なども予定されておらず、据え置きとなった場合の注目は声明と投票の内訳。利下げ投票が複数出たうえでの据え置き決定であれば、次回の利下げがほぼ確定的としてポンド売りとなる可能性がある。ポンドドルは1ポンド=1.2500ドルをターゲットにポンド安が見込まれる。

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