2025年11月17日号

(2025年11月10日~2025年11月14日)

先週の為替相場

米連邦政府機関の閉鎖解除などを受けてしっかり

 先週(11月10日-14日)は、10月1日から続いた米連邦政府機関の閉鎖の解除に向けた動きから、週半ばにかけてドル高円安となった。週後半は調整が入る場面も見られたが、下がるとドル買いが入るなど、堅調地合いが継続。

 米連邦政府機関の閉鎖解除に向けてのつなぎ予算の合意について、スーン共和党上院院内総務(用語説明1)が民主党一部議員が法案可決に賛成する見込みを示したことで、ドル円は週明けから堅調な動きとなった。9日夜には修正予算案採決に向けた動議を可決、11日に上院本会議で可決し、下院の送られて12日に可決。大統領の署名を経て12日につなぎ予算案が成立した。

 ドル円は1ドル=153円30銭台で週明け10日の取引をスタートすると、11日に154円49銭まで上昇。同日のADP全米雇用レポート週次速報値(用語説明2)で雇用者数の減少が示されたことで、153円67銭までドル安となる場面が見られたが、ドル売り一巡後はドル買いが優勢となり、12日には155円04銭と、節目である155円台に乗せた。

 155円台での買いに慎重で154円50銭台まで調整が入った後、13日にも155円台を二度付けたが、ともに155円01銭までにとどまっており、155円台での買いに慎重な姿勢が継続。14日は155円手前が重くなり、154円70銭台から153円60銭台まで一気に調整が入る場面も見られた。その後154円70銭台を再びつけるなど、一過性の調整に留まり、少し落とすも154円50銭台で先週の取引を終えた。

 ユーロドルではユーロ高ドル安がやや優勢となった。先週前半は1ユーロ=1.1600ドル前後が重くなり、11日に米ADP週次速報値を受けたドル売りに1.1606ドルを付けたが、すぐに売りが出る展開。13日にドル円が先週3度目の155円台を付けた後にいったんドル売り円買いが入った局面で1.16ドル台にしっかり乗せると、1.1650ドル台を付ける動きとなったが、1.16台後半の買いには慎重と、比較的落ち着いた動きとなった。

 ユーロ円は史上最高値を更新して上昇。日銀の早期利上げ期待が後退する中で、ユーロ円だけでなく豪ドル円などクロス円全般に円売りが目立つ展開。米連邦政府機関の閉鎖解除を受けた世界的なリスク選好の流れも円売りに寄与した。週初は1ユーロ=178円50前前後が重くなる場面が見られたが、11日の市場で178円50銭前後の売りをこなすと、週末には179円97銭まで上値を伸ばした。心理的節目である180円00銭を付けきれず、ドル円の153円60銭台までの調整に合わせて178円90銭台までユーロ売り円買いが入ったが、すぐに反発し179円50銭台で先週の取引を終えている。

今週の見通し

 連邦政府機関の閉鎖が解除されたことで、これまで延期されてきた米指標の発表が準備の出来たものから再開される。20日には9月の米雇用統計の発表が予定されている。ただ、10月は丸々閉鎖となっていたため、データの取得が出来ておらず、さかのぼってのデータ取得が難しい指標の中には、10月分が欠落するものが出てくると見込まれるなど、影響はまだ続きそう。

 先行き不透明感が意識される中、相場はやや不安定な動きとなりそう。ドル円は米国の早期利下げ期待の後退と日本の早期利上げ期待の後退を受けた日米金利差の縮小期待の低下もあって、ドル買い円売りが入りやすい地合い。ただ155円台でのドル買いには少し慎重な姿勢が見られることから、ゆっくりとした上昇が見込まれる。

 ユーロ円などクロス円も基本的に上昇トレンド継続が見込まれる。ただ、ユーロ円は史上最高値を更新しての動きとなっており、高値警戒感が見られる。調整の動きを交えながらの展開となりそう。

 ポンドは11月26日の予算案発表を前に英国の財政赤字への警戒感が重石となっている。ポンドドルが1ポンド=1.3000ドルを試すような展開になると、ユーロドルでもユーロ安ドル高となり、ユーロ円にも影響が波及しそう。

用語の解説

スーン上院共和党院内総務 ジョン・スーン上院共和党院内総務はサウスダコタ州選出の上院議員。サウスダコタ大学で経営学修士号を取得後、上院議員事務所などで勤務ののち、1996年に下院議員選挙に当選。3期務めた後、2002年に上院議員選挙に出馬も落選。2004年に民主党の上院院内総務であった現職のダシュル議員を僅差で破って当選。その後の選挙戦では民主党候補に圧勝する形で現在4期目。何度も副大統領の有力候補として名前が挙がるなど穏健派の共和党重鎮として知られている。2024年に上院共和党のトップである院内総務に就任。
ADP全米雇用レポート週次速報値 米給与計算代行大手ADPは、米連邦政府機関の閉鎖を受けた米労働省による労働統計の発表が停止する中、従来の月次のレポートに加え、月次レポートが出ない週の火曜日に4週平均の速報値を出すことを発表した。同社は全米2600万人以上の雇用データを有している。10月28日が初回の発表となった。

今週の注目指標

英消費者物価指数(CPI)(10月)
11月19日16:00
☆☆☆
 12月の英中銀金融政策会合での利下げをにらんで、19日の物価統計が注目されている。特にインフレターゲットの対象である消費者物価指数(CPI)前年比が注目される。前回9月の英CPIは3カ月連続での前年比+3.8%となった。市場予想の+4.0%からは伸びが鈍化も、高水準での推移が続いている。
 6日の英中銀金融政策会合は大方の市場予想通り政策金利が据え置きも、投票は5対4と僅差になっていた。その後発表された7-9月ILO基準失業率が予想を超える5.0%までの悪化、英第3四半期GDPが予想を下回る前期比+0.1%の伸びに留まり、9月の月次GDPがマイナス圏となるなど、英経済の厳しい状況が報じられている
 今回の市場予想は+3.6%と前回からの伸び鈍化が見込まれている。予想通りもしくはそれ以上に低い水準に留まると、12月の利下げを織り込む動きが広がり、ポンド売りとなりそう。ポンドドルは1.3000を試す展開になる可能性がある。
米FOMC議事要旨 11月20日04:00
☆☆☆
 19日(日本時間20日午前4時)に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(10月28日、29日開催分)が公表される。10月のFOMCは9月に続いて2会合連続の利下げを実施し、政策金利であるFF金利先物誘導目標を3.75-4.00%とした。また、12月1日をもって保有証券の総量削減を終了することを発表している。ミラン理事が9月に続いて0.5%の利下げを主張、残りのメンバーは0.25%利下げで一致している。
 声明は利下げの根拠として9月に続いて、雇用に対する下振れリスクがここ数カ月間で高まったとの判断を示した。その他、バランスシートのランオフ(償還に伴う保有証券減少)終了を除くと目新しいものはなく、今後については、入手するデータ、変化する見通しやリスクのバランスを慎重に見極めて決定するという姿勢を維持している。
 市場が反応したのはFOMC後のパウエル議長の会見で、次回12月のFOMCでの利下げについて、追加利下げは既定路線ではない。そう呼ぶ状況からは程遠いと発言。FOMC前まで約90%の織り込みとなっていた市場の利下げ期待をけん制した。その後のFRB関係者からの利下げに慎重な発言などもあり、12月の利下げ期待は約50%と据え置き見通しと拮抗するところまで低下している。
 今回の議事要旨で利下げに慎重な姿勢が全般に目立っているようだと、12月の見通しは据え置きが多数派となり、ドル高になる可能性がある。ドル円は155円台に向けた動きが見込まれる。
米雇用統計(9月) 11月20日22:30
☆☆☆
 米連邦政府機関閉鎖が解除されたことで、10月1日以降延期されていた米指標が用意出来次第発表されることとなる(一部指標はさかのぼってのデータの収集が難しく欠落する可能性がある)。10月3日が本来の発表予定で、閉鎖された時点で用意がほとんどできていたとみられる9月の米雇用統計が20日に発表される。
 米連邦準備制度理事会(FRB)は9月16日、17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で6会合ぶりの利下げを実施し、10月28日、29日のFOMCで連続利下げを実施した。その理由となったのが雇用の下振れリスク。今回の発表は9月のデータで少し前のものとなるが、この時点で弱めに出ると、12月のFOMCでの3会合連続利下げの期待につながる。
 前回8月分の発表は非農業部門雇用者数(NFP)が2カ月連続で市場予想を下回り、+2.2万人とかなり低い水準となった。また7月分の発表時に+14.7万人から+1.4万人まで大きく下方修正された6月分の数字が、-1.3万人まで下方修正された。単月での雇用減は2020年12月以来となる。失業率は市場予想通りとはいえ0.1%ポイントの悪化の4.3%。労働参加率が上昇していたため、失業率の悪化自体は問題視されなかったが、非自発的失業者も含む広義の失業率であるU6失業率が8.1%まで悪化し、2021年10月以来の水準となるなど、雇用市場の厳しい状況が示されている。
 8月のNFPの内訳を確認すると、政府部門が-1.6万人と今年に入っての連邦政府の人員削減が継続。民間財部門は製造業の-1.2万人などもあって-2.5万人となり、4カ月連続の雇用減。民間サービス部門は教育・医療サービスが+4.6万人と前回から伸びが鈍化も底堅さを見せたほか、娯楽・接客業が+2.8万人、小売業が+1.1万人など、比較的景気に敏感な部門の伸びが見られた。一方、卸売業、ビジネスアクティビティ部門、情報業、金融業など幅広い業種で雇用が減少。特殊事情ではなく、雇用市場全体が落ち込んでいるとの印象を与えた。
 今回の予想はNFPが+5.0万人と前回の+2.2万人から少し伸びが強まる見込み。ただ、9月のADP雇用者数が予想の+5.0万人に対して-3.2万人と悪化(その後-2.9万人に修正)、8月分の数字も+5.4万人から-0.3万人と雇用減となっている。NFPも予想を大きく下回るようだと、12月のFOMCでの利下げ期待に繋がり、ドル売りとなる可能性がある。なお失業率は4.3%で8月と同水準の見込み。

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