2025年12月01日号
先週の為替相場
週後半は米感謝祭でやや調整ムード
先週(11月24-28日)は比較的落ち着いた動きだった。28日の米国は感謝祭で休場。29日はブラックフライデー(用語説明1)ということもあって休みを取った市場参加者が多く、米株式市場などが短縮取引だったこともあり、模様眺めムードが広がっていた。
11月20日に今年1月以来のドル高円安となる1ドル=157円89銭を付けた後は156円台前半までドルが下落した。週明け24日は156円台半ば前後から海外市場でドル買い円売りが優勢となった。目立った新規材料はなく、東京市場が勤労感謝の日の振り替え休日で休場となる中、20日高値からの下落の反動でドルが値を戻した。20日に史上初の1ユーロ=182円台を付けた後、21日には179円台まで下げたユーロが181円27銭まで戻すなど円安が全般に優勢だった。
25日の海外市場でドル安が優勢となった。同日発表された9月の米生産者物価指数と小売売上高(ともに本来10月16日発表予定だった)が、市場予想を下回ると、12月9、10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が再燃し、1ドル=155円80銭のドル安円高に振れた。東京市場で1ユーロ=1.1512ドルだったが、1.1586ドルまでユーロ高ドル安となっており、ユーロ円はドル円の下げにも関わらず、ロンドン市場午前の180円10銭から180円台後半へ上昇した。
26日には通信社が「日銀がタカ派姿勢を復活させ12月利上げを意識」と報じたことをきっかけに円が買われ、1ドル=155円65銭を付けた。1ユーロ=180円90銭台から180円30銭台までユーロが下落するなど、円が全面高となる場面があった。しかし、ドルは対円ですぐに反発して156円台を回復。10月の豪消費者物価指数(用語説明2)が上振れしたことで豪ドル円が買われたことなどが円安のきっかけとなった。さらに日本政府の補正予算案で11兆円超の国債を発行する方針が報じられ、財政赤字への警戒から円安が進行した。米新規失業保険申請件数の好結果によるドル高もあって1ドル=156円74銭を付けている。1ユーロ=181円40銭台を付けるなど、クロス円もしっかりとなった。
もっともドル円は高値を付けた後にいったん調整売りが優勢となった。27日の米国が感謝祭で休場となり、28日も連休を取る市場参加者が多いこともあって、ポジション整理の動きが広がった。米国市場は祝日であってもそれなりの取引が見られるが、イースター、クリスマスと並んで感謝祭とその翌日は取引量が大きく減少することが多い。
27日東京市場でもドル高の調整が続き、ドル円は155円73銭を付けた。その後行き過ぎたドル売りにも警戒感が生まれて156円台を回復。28日も閑散とした取引が続き、1ドル=156円台前半を中心に推移した。
今週の見通し
来週9、10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決まるとの見通しが強まっている。前回FOMC(10月29、30日)後にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見し、12月の追加利下げは既定路線ではなく、そう呼ぶ状況からは程遠いなどと発言したことから、金利据え置き予想が利下げ予想を上回る場面があった。しかし、その後の米経済指標の弱さや、FOMC委員の発言などを受けて利下げ期待が広がった。直近では短期金利市場が織り込む利下げ確率は90%前後と、利下げが完全に織り込まれつつある。
一方、日銀金融政策決定会合での利上げ観測も強まり、日米金利差の縮小が予想されている。こうした動きが円キャリー取引拡大を抑えるとの見方から、ドル安円高がやや優勢となった。
ただ、高市政権下での積極財政による財政赤字拡大への懸念などが円売りにつながっており、ドルは下がると買いが入る展開。短期的にはやや上値の重さが見られるものの、中期的な流れはまだ上方向との見方も根強い。
来週のFOMCまではやや不安定な動きとなり、ドル円は155円台を中心とした推移が見込まれる。ドル安円高方向のリスクがやや高く、154円00銭から154円50銭にかけてのサポート水準を試す可能性もありそうだ。
ユーロドルは米国の利下げ観測を受けてユーロ高ドル安の流れがやや優勢となり、目先のターゲットは1.1700ドル前後か。
ドルは対円で上値が重いものの、対ドルでのユーロ買いの流れもあって、ユーロ円ははっきりしない動きとなりそうだ。ドルが対円で大きく下落すれば、ユーロも対円も下方向を試す可能性が高く、179円50銭に向けた動きが予想される。
用語の解説
| ブラックフライデー | 米感謝祭(11月の第4木曜日)翌日の金曜日のこと。米国の多くの小売店がこの日から年末セールを開始する。名前の由来は諸説あるが、小売店におって1年で最も忙しい日となり、多くの店舗で黒字になることから名付けられたとの説がやや有力だ。 |
|---|---|
| 豪消費者物価指数 | 豪消費者物価指数は従来四半期ベースのものが中心となっており、豪準備銀行(中央銀行)のインフレ目標も四半期の基調インフレ率となっていた。同指標を発表する豪統計局は、10月の月次ベースの消費者物価指数から調査対象を拡大するなど充実させたコンプリートCPIとし、インフレ目標の対象も月次ベースに変更した。 |
今週の注目指標
| 米ISM製造業景気指数(11月) 12月2日00:00 ☆☆☆ | 前回10月の米ISM製造業景気指数は48.7と、市場予想(49.5)や10月実績(49.1)を下回り、経済活動の拡大・縮小の基準となる50を8カ月連続で下回った。新規受注がやや改善したが、生産が51.0から48.2へ悪化したことが響いた。雇用は46.0と9月の45.3から小幅に改善したが、低水準にとどまっている。 今回は49.0と小幅の改善が予想されるが、9カ月連続の50割れが見込まれる。米連邦政府機関の閉鎖で公的機関による主要指標発表が中止・延期される中、来週のFOMCを前に直近の米景気動向を確認する重要な材料と目されている。市場予想を下回るとドル売りが強まり、1ドル=154円台前半に向けた動きとなるだろう。 |
|---|---|
| 米ADP全米雇用レポート(11月) 12月3日22:15 ☆☆☆ | 10月の米雇用統計は非農業部門雇用者数を除いて発表が中止された。非農業部門雇用者数は11月分とまとめて発表。11月分の発表は本来の12月5日から12月16日に延期され、来週の米FOMCには間に合わない。米利下げのカギを握る雇用状況を確認する重要な材料として、米給与計算代行大手ADPの雇用レポートがいつも以上に注目されている。雇用者数の予想は前月比+1.0万人と、10月の+4.2万人から伸びが鈍化する見込みとなっている。市場予想をさらに下回り前月比マイナス圏まで落ち込むと、ドル売りが加速し、1ドル=154円を割り込む展開となる可能性がありそうだ。 |
| 米PCE価格指数(9月) 12月6日0:00 ☆☆☆ | 米インフレ目標の対象物価指標である個人消費支出(PCE)価格指数の9月分が発表される(本来は10月31日発表予定だった)。 政府機関閉鎖中の10月24日発表された9月の消費者物価指数(CPI)はガソリンなどエネルギー価格の上昇から総合が8月から伸びたものの、食品とエネルギーを除くコアは8月から伸びが鈍化した。11月25日発表された9月の生産者物価指数(PPI)も、消費者物価指数と同様に総合が8月から伸びたものの、コアは9月から鈍化した。PPIのうち、PCE価格指数の算出に利用されるポートフォリオ管理費、航空運賃、外来医療費などは伸びが鈍化し、一方で介護費用などは伸びていた。関連項目全体ではやや弱い伸びという印象だった。 こうした状況を受けて今回の9月PCE価格指数の予想は、総合が前年比+2.8%(8月+2.7%)から伸びが強まる見込みだが、コアは前年比+2.8%と8月の+2.9%から伸びが鈍化する見込みとなった。CPIやPPI同様にエネルギー価格の上昇が総合を支えるが、その他はやや伸びが鈍いと予想されている。 インフレ目標の2%と比べると高い伸び率が予想されるが、コアの上昇傾向一服は利下げに向けた材料となる。予想を下回る弱い伸びとなった場合はドル売りが強まり、1ドル=154円割れを意識する展開が見込まれる。 |
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