2025年12月08日号

(2025年12月01日~2025年12月05日)

先週の為替相場

ドル安円高がやや優勢

 先週(12月1~5日)は全体としてドル安・円高がやや優勢だった。11月20日に今年1月以来のドル高・円安となる1ドル=157円89銭を付けた後、ポジション整理のドル売りをきっかけにドル安・円高の流れに転じた。先々週末は27日の米感謝祭と28日の米ブラックフライデーに絡んで取引参加者が減ったこともあり、値動きがいったん落ち着いたが、感謝祭ウィーク(用語説明1)明けの12月1日、ドル安・円高の流れが再開した。

 1日はドルがやや下げて始まると、植田日銀総裁が名古屋での金融懇談会で「12月の日銀会合で利上げを議論する」と発言したことを受けて円買いが強まった。ドルは156円20銭前後から155円40銭前後まで急落し、時間外取引の米株先物の軟調もリスク警戒の円買いにつながった。海外市場でもドル安・円高は続き、心理的節目である155円00銭を割り込むとストップロス注文を巻き込んでドル売りが加速し、154円65銭を付けた。ユーロ円が東京朝の1ユーロ=181円29銭から180円14銭、ポンド円が206円91銭から205円21銭など、他通貨対比でも円高が進展した。ドル安・円高もあり、1ユーロ=1.1590ドル前後から1.1652ドルまでユーロ高・ドル安となる場面があった。もっとも、ドル安は長続きせず、同日海外市場で1ドル=155円50銭台を回復し、1ユーロ=1.1600ドル前後を付けた。

 2日もドル安からの調整ムードが続き、海外市場で156円18銭を付けた。株高などを受けたリスク選好の円売りもドル円を支えた。ユーロ円が181円36銭を付けるなどクロス円でも円売りが優勢となった。ユーロドルは1.1600ドルを挟んでもみ合った。

 3日はドル安が優勢。米ADP全米雇用レポートやISM非製造業景気指数などの発表を前に、ドル買いポジションの整理などが見られた。ADPは雇用者数が予想外の前月比マイナスとなり、ISM非製造業も弱い結果となったため、米利下げ観測が強まる形でドル売りが拡大。ドル円は155円01銭、ユーロドルは1.1678ドルを付けた。ドル安円高を受けて1ユーロ=180円80銭前後のユーロ安円高に動いた。

 4日東京朝のドル安局面で155円02銭を付けたが、前日に続いて155円00銭前後のドル買いを崩せず、一転して155円50銭台まで上昇した。180円83銭を付けたユーロ円も181円29銭まで反発した。しかし、日本時間午後に入って「日銀が12月会合で利上げを行う公算が大きく、政府も容認」との報道が伝わり、円高に転じた。ロンドン勢が本格参加する時間になって円買いが加速。ドル円は154円51銭を付け、ユーロ円は180円40銭を付けるなど円は全面高となった。

 5日も円買いはさらに強まった。日銀関係筋の話として、日銀が12月利上げを実施した上で、利上げ継続姿勢を維持する見通しであると報道されたこともあり、ドル円は154円35銭と4日の安値を更新。ユーロ円は180円10銭を付けた。その後は反発に転じ、週末を前に行き過ぎた動きへの警戒感から、ドル円は5日の下げ分をすべて解消してさらに155円50銭手前まで上昇。ユーロ円も180円93銭まで上昇した。

今週の見通し

 米連邦公開市場委員会(FOMC)が9~10日に開催される。3会合連続の利下げはほぼ織り込まれている状況だ。最大の注目点は、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見と、3カ月ごとに公表されるFOMCメンバーによる経済見通し(SEP:Summary of Economic Projections)(用語説明2)である。前回9月公表のSEPでは、2026年の経済成長率見通しが6月の+1.6%から+1.8%へ、失業率が4.5%から4.4%へと、比較的強気に修正された。2026年末時点での政策金利見通しは3.25-3.50%と、6月時点の3.50-3.75%から低下したが、市場はこれより低い水準を見込んでいる。今回、経済情勢に関する強気な見通しが目立ち、政策金利見通しが市場の予想ほど下がってこないようであれば、ドル高が進む可能性がある。

 FOMCの結果発表までは様子見ムードが広がりそうだ。0.25%の利下げは既に織り込み済みとはいえ、2026年の経済見通しは市場でもまだ不安定であり、パウエルFRB議長の会見内容やSEP次第という面が大きく、事前に積極的な動きは取りにくい。

 ユーロドルは1.1600-1.1700を中心に、次の方向性を探る展開となるだろう。欧州中央銀行(ECB)の当面の金利据え置き期待もあり、下がると買いが入る展開は続くが、上値を追うには勢いに欠ける状況が継続している。

 ユーロ円はドル円に左右される面が大きい。リスクはやや下方向にあるものの、積極的に円買いを試す材料に欠けている。

用語の解説

感謝祭ウィーク 米感謝祭(11月の第4木曜日)を含む週のこと。米市場は祝日であっても外国為替市場の参加者がそれなりにみられるが、感謝祭はクリスマスと並んでしっかりと休みを取る市場参加者が多く、翌金曜日のブラックフライデーと合わせて取引が非常に閑散となることが多い。
FOMCメンバーによる経済見通し 年8回開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)のうち、3、6、9、12月会合の結果と同時にFOMCメンバーによる経済見通し(SEP:Summary of Economic Projections)が公表される。数年先までの各第4四半期および長期の経済成長率、失業率、物価(PCE価格指数前年比およびコアPCE価格指数前年比)の予想、および年末時点での政策金利見通しが示される。年末時点での各メンバーによる政策金利の見通しをドットで示した「ドット・プロット」が市場の関心が最も高い。

今週の注目指標

豪中銀政策金利 12月9日12:30
☆☆☆
 9日発表されるオーストラリア準備銀行(中央銀行)の政策金利は現行の3.60%の維持が見込まれている。豪州は12月3日に発表された第3四半期GDPが前年比+2.1%と約2年ぶりの高い伸びとなった。11月13日発表された10月の雇用統計でも雇用者数の高い伸びや失業率の市場予想を超える改善が確認されたことから、豪中銀による利下げサイクルの終了だけでなく、来年半ば頃からの利上げ観測も浮上している。今回の声明などで強気の姿勢が示されると、利上げ観測が強まって豪ドル買いとなる可能性が高く、1豪ドル=104円に向けた動きが予想される。
米雇用動態調査求人件数(9月及び10月) 12月10日00:00
☆☆☆
 10月1日から43日間続いた米連邦政府機関閉鎖の影響で、11月4日に発表予定だった9月の米雇用動態調査(JOLTS)は求人件数を除いて発表を取りやめた。本来12月2日に発表予定だった10月の雇用動態調査と9月の求人件数が、12月9日(日本時間10日午前0時)にまとめて発表される。8月の求人件数は722.7万件だった。変則的な発表形式のため予想は難しいが、10月分は715万人前後と8月から大きく変わらない水準が見込まれている。予想を大きく下回ると、今週の米FOMCでの利下げだけでなく、来年以降の利下げ継続予想につながり、154円台前半の円高ドル安を試す展開が見込まれる。
米連邦公開市場委員会(FOMC) 12月11日04:00
☆☆☆
 今年最後のFOMCが9日、10日に開催され、3会合連続の利下げがほぼ確実視されている。米FRBは昨年の3度の利下げ実施後、今年に入って5会合連続で政策金利を据え置いた。9月の利下げを再開時点で、市場は10月と12月の連続利下げを織り込む動きを見せていた。しかし、10月のFOMC後の記者会見でパウエルFRB議長は「12月のFOMCでの追加利下げは既定路線ではない。そう呼ぶ状況からは程遠い」との発言し、市場を牽制した。これを受けて、12月の利下げ期待は90%台から60%程度まで低下した。さらに11月19日に公表された10月FOMCの議事要旨で、多くの委員が12月利下げに消極的な姿勢を示したことで、利下げ観測は一時31%前後まで後退し、据え置き予想が利下げ予想を大きく上回った。しかし、米雇用市場の厳しい状況、反発傾向にあった物価情勢の一服期待などから、その後は利下げ観測が再燃し、11月後半以降は利下げ見通しが90%前後で推移している。10%前後の据え置き予想が残るなど、市場の見通しは必ずしも利下げで一致しているわけではないが、大勢の見方に沿って利下げを前提とする相場展開となっている。
 予想外の金利据え置きとなれば、ドルは急騰する可能性が高い。大方の見通し通り利下げの場合、注目はパウエル議長の記者会見と、3カ月ごとに示されるFOMC委員の経済見通し(SEP)となる。
 パウエル議長は前回のFOMCでの記者会見でかなり慎重な姿勢を示した。今回も今後の金融政策はあくまで経済状況次第との姿勢を崩さないとみられる。
 SEPでは、年末時点の政策金利見通しをドットで示したドットプロットが最も注目される。前回9月のドットプロットは、2026年末時点で3.25-3.50%が予想の中央値だった。6月の3.50-3.75%からは下がっているが、今回利下げすると政策金利は3.50-3.75%に達する。前回見通しの通りだと、来年は1回の利下げにとどまることになる。
 市場は来年複数回の利下げを予想している。金利先物市場が織り込む政策金利を示すCME FedWatchツールでは、2026年末時点での政策金利3.00-3.25%が最有力。この場合、来年2回の利下げとなる。また、来年3回以上の利下げ見通しも50%近くと、2回以下とほぼ拮抗している。こうした市場の利下げ予想に対して、FOMC委員がどのような予想を示してくるのかが注目される。積極的な利下げを予想するメンバーが多ければ、ドル売りが見込まれる。ただ、前回のFOMC議事要旨を確認する限り、利下げには慎重な姿勢を見せる委員も多い。市場予想に沿う形での下方修正がなければ、ドル買いの材料となり1ドル=156円台を回復する動きが見込まれる。

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