2025年12月15日号
先週の為替相場
週前半にドル高も、その後動きが反転
先週(12月8-12日)は、週の前半にドル高が進み、ドル円は9日に11月20日以来のドル高圏となる1ドル=156円95銭を付けた。その後、週初からのドル高分をほぼ解消する動きとなった。
ドル円は11月20日に今年1月以来のドル高圏となる1ドル=157円90銭を付けたが、利益確定の動きや日米金利差の縮小期待などからドル安円高となり、12月5日に154円35銭を付けた。安値から少し反発して5日までの週を終えると、週明け8日にドル高円安が強まり、9日に156円95銭まで上昇した。9日、10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、11月20日以降のドル売りに対する調整の動きが強まったと見られる。ユーロ円はドル円の上昇に合わせて先週前半上値をトライし、9日に1ユーロ=182円60銭台を付けた。ユーロドルはドル高基調を受けて上値が重くなったが、1ユーロ=1.1600ドル手前のユーロ買いが下値を支えた。
米FOMCを直前に控えてドル安調整の動きが一服。ドル円は156円30銭前後でFOMCの結果発表を迎えた。市場予想通り3会合連続の利下げが発表されると、発表直後の上下を経てドル安が優勢となった。FOMC前の短期金利市場での利下げ織り込みは88%程度となっており、据え置き見通しが12%程度残されていた。少数派とはいえ無視できる水準ではなく、発表後は利下げを完全に織り込み切れなかった分のドル売りが出ていた。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長会見では「インフレ率は2026年の最初の3カ月でピークに達し、その後再び減速し始める」と来年第1四半期にインフレリスクが残るとするタカ派な部分も見られたが、「労働市場には著しい下振れリスクがあるようだ」と厳しい雇用情勢に言及する部分もあり、市場はある程度タカ派も、警戒していたほどではないとの見方からドル売りが優勢となった。今回が公表回に当たっていたFOMC参加メンバーによる経済見通し(SEP)の中のドットプロットでは2026年末時点での政策金利見通しの中央値が3.25-3.50%となった。見通し通りだと来年1回の利下げとなる。市場は来年2回もしくはそれ以上の利下げを見込んでおり、こちらもややタカ派な結果である。ただ、市場はドットプロットの中央値は来年1回に留まると予想しており、見通し通りとして相場への影響は抑えられた。
ドル円はFOMC後のドル安の影響から11日に一時154円90銭台を付けた。しかし、154円台でのドル売りには慎重姿勢が見られ、その後反発。12日には156円10銭台まで上昇するなど、一方向の動きにならなかった。
ユーロドルはFOMC後のドル安に1.1610ドル台から大きく上昇。先々週までのドル安局面で上値を抑えていた1.1680ドル前後を超えてストップロス注文のユーロ買いを巻き込み1.1763ドルを付けた。
ユーロ円は週前半のドル円の上昇を支えとした上昇の後、182円60銭前後が重くなっていたものの、182円割れでは買いが出る展開を経て、週後半の対ドルでのユーロ買いもあって183円16銭を付けた。
今週の見通し
今週は16日に米雇用統計(用語説明1)、米小売売上高、18日に米消費者物価指数(CPI)と重要指標の発表が予定されているほか、18日にイングランド銀行(BOE/中央銀行)金融政策会合(MPC)(用語説明2)、欧州中央銀行(ECB)理事会、19日に日本銀行金融政策決定会合の結果発表が予定されている。
米国の来年の利下げについて、先週示されたFOMCメンバーによる見通しと市場の織り込みに乖離が見られるため、今後の金融政策動向に影響を与える米指標の結果に注目が集まっている。特に先週のFOMCでも警戒感が示された米雇用市場の動向次第では来年の利下げ期待が強まり、ドル売りとなる可能性がある。ドル円は154円台前半に向けた動きが予想される。
英中銀は利下げ、ECBは据え置き、日銀は利上げをそれぞれ織り込まれている。波乱要素は少ないとみられる。
英中銀は投票の内訳が注目。利下げが多数派になるとみられているが、全会一致となる可能性は低い(英中銀は今年に入って全会一致での決定は一度もない)。据え置きを主張するメンバーが複数出た場合、今後の利下げへの期待が後退し、ポンド買いとなる可能性がある。ポンド円は209円に向けた動きとなる可能性がある。
ECB理事会と日銀会合は総裁の会見が注目材料となる(英中銀は会見予定がない)。ECBは当面の金利据え置きが見込まれている。ラガルド総裁の会見でこうした市場の見通しが後押しされるかが注目される。日銀は今回の利上げで打ち止め感が出てくると、利上げをしても円安という展開が見込まれる。早期の追加利上げは難しいとみられるが、植田総裁の会見で今後も利上げが続く姿勢がどこまで示されるかがポイントとなる。
用語の解説
| 米雇用統計 | 米労働省労働統計局(BLS)が全米の雇用状況を調査、発表する指標。基準日となる12日を含む週のデータをアンケートによる家計調査(失業率など)と、事業所調査(非農業部門雇用者数など)に分けて調査する。米連邦政府機関閉鎖の影響で、10月分については非農業部門雇用者数など一部を除いて公表を中止。11月分は本来の発表日であった12月5日から発表日を延期して12月16日に発表となる(10月分の非農業部門雇用者数も合わせて公表される)。 |
|---|---|
| イングランド銀行(BOE/中央銀行)金融政策会合(MPC) | 英国の金融政策を決定する会合。年8回の開催のうち、四半期ベースの金融政策報告が公表される2.5.8.11月のMPCのみ、会合後の総裁会見が予定されている(それ以外の会合でも臨時で行うことがある)。総裁や副総裁を含む5名の英中銀内部のメンバーと4名の外部メンバーの多数決で政策を決定する。議長提案への反対票が多いことで知られており、最後に全会一致での決定となったのは2021年9月。以来33会合連続で反対意見が少なくとも1票ある。 |
今週の注目指標
| 米雇用統計(11月) 12月16日22:30 ☆☆☆ | 本来12月5日に発表予定であった11月の雇用統計が16日に発表される。10月分の非農業部門雇用者数も合わせて発表される予定となっている。9月の非農業部門雇用者数は予想を超える前月比+11.9万人となった。11月分は+5.1万人と伸びの鈍化が見込まれている。政府機関閉鎖の影響で関連産業の雇用状況が不透明となっており、予想から大きな乖離を見せる可能性がある点に注意したい。予想外に雇用者数がマイナスとなったり失業率の悪化などが見られた場合、来年の利下げペース拡大期待に繋がり、ドル売りとなる可能性がある。ドル円は154円00銭を目指す展開もありそう。 |
|---|---|
| 米消費者物価指数(11月) 12月18日22:30 ☆☆☆ | 米連邦政府機関閉鎖の影響で10月の米消費者物価指数(CPI)は計測不能となった。11月は前年比+3.1%と9月の+3.0%から小幅に伸びが強まる見込みとなった。食品とエネルギーを除くコアは+3.0%と9月と同水準が見込まれている。総合に関してはガソリン価格の伸びが全体を押し上げるとみられている。米国のガソリン小売価格は9月から11月にかけて2カ月連続で低下しているが、2024年はより大きく低下している(米エネルギー情報局調査での2カ月間の下落率は2025年が-3.46%、2024年が-4.48%)。前年比ベースでみると2024年が-1.35%、2025年が+0.1%となる。この分の影響が全体を押し上げる可能性がある。予想通りコアが9月から横ばいとなった場合、相場への影響は限定的となりそう。コアが予想外に上昇した場合は、来年の利下げ期待が後退し、ドル高となる可能性がある。ドル円は156円台を目指す展開が見込まれる。 |
| 日銀金融政策決定会合 12月18日/19日 ☆☆☆ | 2024年3月に2015年から続いたマイナス金利を終了した日銀。その後、2024年7月、2025年1月と利上げを実施し、政策金利は現行の0.50%となった。その後は6会合連続で据え置きが続いていたが、今回は利上げが見込まれている。12月1日に名古屋市で開かれた金融懇談会での講演で植田総裁は「利上げの是非について適切に判断したい」と発言した。植田総裁が重視していることを明らかにしている企業の賃金動向について、「企業の賃上げ継続に向けた動きが現時点では順調に進んでいる」とも発言しており、利上げに向けた流れが順調に進んでいることを示唆した。 2025年の春ごろから、少なくとも12月の会合までに利上げとの期待が広がっており、短期金利市場での利上げ確率は50%から80%程度の間で推移する展開が続いた。10月に入って景気刺激に積極的な高市政権の誕生で期待がやや後退したものの、直近の植田総裁発言などもあって、期待が再び強まり、直近では90%を超える織り込みとなっている、 ここまで織り込みが進むと、もし据え置きとなった場合は急激な円売りが見込まれる。 大方の予想通り0.25%の利上げを実施した場合、注目は今後の金融政策への姿勢となる。会合後の植田総裁の会見で今後も利上げを続ける姿勢がしっかり示されると円買いが見込まれる。ドル円は153円台に向けた動きが予想される。 |
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