2025年12月22日号

(2025年12月15日~2025年12月19日)

先週の為替相場

週後半にかけて円安強まる

 先週(12月15-19日)は、週の後半にかけて円安が優勢となった。

 ドル円は先々週12月9日に11月20日以来のドル高圏となる1ドル=156円95銭を付けた後、一転してドル安円高となった流れが先週前半まで継続。15日に木原官房長官が「金融政策は日銀に委ねる」と発言したことが、海外勢を中心に18日・19日の日銀金融政策決定会合での利上げ容認との思惑につながったことも円買いとなった。またNZドル円でNZドル売り円買いが広がったことも、ドル円の重石となった。

 NZドルは今月就任したブレマンNZ準備銀行(RBNZ/中央銀行)総裁(用語説明1)が発表した声明の中で、追加利下げについて、早期に実施される可能性がわずかにあると表明。ホークスビ―前総裁が追加利下げのハードルは高いとしていたことで、市場はNZ中銀の利下げサイクルは終了したとの見方が広がっていただけに、サプライズとなってNZドル売り円買いにつながった。

 円高の流れは16日まで続き、ドル円は155円前後が重くなった。ユーロ円が16日に9日以来のユーロ安円高となる1ユーロ=181円72銭を付けるなど、クロス円でもやや円高となった。

 注目された16日の11月米雇用統計は非農業部門雇用者が予想を上回る伸びとなったが、同時に発表された10月の非農業部門雇用者が予想を大きく超える10.5万人の減少(用語説明2)となり、2カ月合わせると4.1万人の減少となった。失業率は9月の4.4%から4.6%に悪化した。この結果を受けてドルが一時急落し、ドル円は5日以来のドル安円高となる154円40銭を付けた。ユーロドルが1ユーロ=1.1750ドルを挟んでの推移から1.1804ドルまでユーロ高ドル安になるなど、ドルは全面安となった。ドル主導の展開となり、ユーロ円などクロス円の動きは抑えられた。

 米雇用統計後のドル安は一時的なものに留まり、すぐに発表前の水準に戻すと、その後は一転してドル高が優勢となった。かなり厳しい結果となった米雇用統計を受けてもドル安の動きが一時的なものに留まったことで、ドル買いに安心感が出ていた。さらに17日の11月英消費者物価指数(CPI)が予想を下回る伸びとなったことでポンド安ドル高となったことも、ユーロドルでのドル買いを誘い1.1700ドル台を付けている。

 ドル円も安値からの反発が見られ、155円台半ば前後での推移となった。

 18日のイングランド銀行(BOE/中央銀行)金融政策会合(MPC)は、市場予想通り0.25%の利下げを決定した。17日の英CPIの弱い伸びもあって、市場では6対3もしくは7対2での利下げ決定を見込んでいたが、結果は5対4と僅差での利下げ決定となったことで、来年の追加利下げが難しいとの思惑が広がり、利下げ実施にも関わらずポンド買いが出た。同日の欧州中央銀行(ECB)理事会は市場予想通り政策金利を据え置いた。声明やラガルドECB総裁会見は想定内の内容に留まり、相場への影響は限定的となった。

 ドル円は155円98銭と156円をトライするところまでドル高円安となったが、ポンド円などでの円買いもあって、155円台前半まで調整売りとなった。

 19日の日本銀行金融政策決定会合は市場予想通り0.25%の利上げを決定した。声明は前回を踏襲し「依然として緩和的」との文言が残された。ドル円は発表直後の上下を経て、基本的に想定内となったことで、材料出尽くし感からの円売りが優勢となった。同日15時半からの植田日銀総裁会見では、次回の利上げについての明言がなかったことで円売りが広がり、11月20日以来のドル高圏となる157円78銭を付け、ほぼ高値圏で先週の取引を終えた。

 植田総裁会見後の動きは円売りが主導するものとなり、ユーロ円が史上最高値を更新する184.75円を付けるなど、クロス円も軒並み上値トライの展開となった。

今週の見通し

 今週はクリスマスウィークということで、年間でも取引量が最も少なくなる週となる。米第3四半期GDP速報値が発表されるため、まったく材料がないというわけではないが、日米欧の主要中銀の政策金利発表も先週までで一段落しており、全般に手掛かり不足。例年通り様子見ムードが高い週となりそう。

 ドル円は円安基調継続を意識も、上値追いにも慎重となりそう。先週18日、19日の日銀金融政策決定会合後の植田総裁による会見で、追加利上げについて具体的な言及がなかったことが円売りを誘った。会合後大手金融機関などから次の利上げは2026年ではなく2027年になる可能性があるとの見通しが示されており、早期の利上げ期待後退が円売りとなっている。

 クリスマスウィークで流動性が乏しい中、介入が難しいとの見方が浮上していることも円安基調を下支えしている。これまでは158円台に乗せるとドル売り円買い介入実施の可能性が高まるとの見通しが出ていたが、海外の政府・中銀も休暇に入るこの時期の介入実施は、米、欧などの賛同を得にくいとの思惑が見られる。

 もっとも取引自体がかなり閑散となる中で、勢いのある動きにはなりにくいとの見方が強い。ドル円は158円トライへの警戒を持ちつつも、157円台を中心とした推移が見込まれる。

 ユーロ円などクロス円も基本的にしっかりとなりそう。ユーロ円は史上最高値を更新しての推移が続く。心理的な節目である185円00銭付近では上値の重さが見られるが、押し目では買いが出る展開か。クリスマスウィークでドル円の動きが膠着するようだと、184円台を中心とした動きに終始すると見込まれる。

 ユーロドルはやや上値が重いが、下値トライにも慎重。1.1650-1.1750レンジでの推移が見込まれる。

用語の解説

ブレマン総裁 アンナ・ブレマン(Anna Breman)RBNZ総裁。今年3月に2018年から総裁を務めていたオア氏が突然総裁を辞任。任期を3年も残す中での突然の辞任となった。混乱の中、ホークスビ―副総裁が代行を経て、最長半年の任期で臨時で総裁に就任。その間にNZ政府が総裁を公募する中で、スウェーデン国立銀行(リクスバンク/中央銀行)の第1副総裁であったブレマン氏が総裁に指名され、12月1日付で就任した。RBNZは12月、1月に金融政策会合がないため、ブレマン氏の下での最初の金融政策会合は来年2月18日となる。オア氏に続いてホークスビ―氏も総裁退任後RBNZを去っており、会合メンバーが入れ替わる中で、ブレマン新総裁の姿勢が注目されていた。
10.5万人の減少 10月の米雇用統計は、家計調査である失業率などの発表が見送られたが、事業所調査で判明した項目は発表されており、非農業部門雇用者は前月比-10.5万人となった。単月での雇用者数減少は今年6月、8月にも見られたが、10万人を超える減少は2020年12月以来となる。
 政府部門の-15.7万人が主要因となった。中でも連邦政府部門が-16.2万人となった。トランプ政権によって進められた連邦政府職員の人員整理において、早期退職プログラムの条件が9月までの給与支払いとなっていたため、米雇用統計の規定上、早期退職者は9月まで雇用者の扱いとなっていた。10月分から期限切れとなった分の雇用者減となっている。

今週の注目指標

日銀基調的なインフレ率を補足するための指標 12月23日14:00
☆☆
 先週の日銀金融政策決定会合での声明で、「賃金と物価がともに緩やかに上昇していくメカニズムが維持される可能性が高い」との見方が示された。もっとも「来年度前半にかけて、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していく」との見方も示されている。こうした中、日銀が物価動向の分析にあたって一時的な要因を取り除いた基調的なインフレ率としている指標が23日に発表される。最も注目度の高い刈込平均前年比は前回10月分が2.2%となった。9月分に続いての2%超えとなっている。今回発表の11月分がさらに上昇を示していると、追加利上げに対する期待が広がる形で円買いとなる可能性がある。ドル円は156円台に向けた動きが期待される。
米第3四半期GDP速報値 12月23日22:30
☆☆☆
 米第3四半期GDPは、本来10月末に速報値、11月末に改定値が発表され、12月は確報値が発表されるスケジュールとなっている。しかし、10月1日から43日間続いた連邦政府機関閉鎖に際して、同指標を発表する米商務省経済分析局(BEA)も閉鎖されていたこともあり、発表スケジュールが変更されている。商務省により新たに示されたスケジュールは12月23日に速報値/概算値(通常の速報値はAdvance Estimate、今回はInitial Estimate)、1月22日に確報値/更新値(本来は改定値Second Estimate、確報値Third Estimateであるが、今回はUpdated Estimate/更新値)の発表となる。
 今年の米GDPは第1四半期が前期比年率-0.6%と2022年以来のマイナス圏となった。トランプ関税を前に各国からの対米輸出の前倒しが進んだことで、米国の輸入が+38.0%の上昇。GDPを4.70%押し下げている。第2四半期はその反動もあって+3.8%の好結果となった。輸入が-29.3%となり、GDPを5.03%押し上げた。貿易収支の影響を強く受けた上半期を経て、第3四半期は+3.2%が見込まれている。米国の年間GDPは2022年が前年比で+3.0%、2023年が+2.6%、2024年が+2.9%となっており、前期比年率+3.2%はなかなかの高水準。発表前後の数字が示されると、米利下げ期待一服に繋がりドル買いが期待される。ドル円は158円に向けた動きとなりそう。
東京都区部消費者物価指数(生鮮除く前年比)(12月) 12月26日08:30☆☆ 19日に発表された11月の全国消費者物価指数(CPI)(生鮮食品を除くコア)が前年比+3.0%となった。市場予想通り10月から伸びが横ばいとなっている。生鮮を除く食品が前年比+7.0%と10月から伸びが鈍化も高い水準で全体を押し上げている。日銀は先週の会合で今後の金融政策について賃金や物価のデータを注視する姿勢を示しており、物価関連の指標の注目度が高くなっている。全国CPIの前哨戦となる12月の東京都区部消費者物価指数(東京CPI)も注目を集めている。12月の東京CPI(生鮮除くコア)前年比の予想は+2.5%と11月の+2.8%から鈍化見込みとなっている。昨年12月の東京CPIが11月から伸びたことによるベース効果があるため、影響は限定的と見られるが、予想以上に鈍化を見せると、一部で噂が出ている次回の利上げは2027年になるとの見通しが強まる形で円売りが見込まれる。ドル円は158円台トライとなる可能性がある。

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