2025年12月29日号

(2025年12月22日~2025年12月26日)

先週の為替相場

円安の調整もクリスマス明けは調整が一服

 先週(12月22-26日)は、日本当局の円安けん制などを受けて、それまでの円安進行に調整が入ったが、クリスマス明けは調整が一服している。

 ドル円は18日、19日の日本銀行金融政策決定会合後に進んだ円売りに19日海外市場で1ドル=157円75銭までドル高円安となり、週明け22日朝も157円75銭を付けるなどドル高圏でスタートした。三村財務官(用語解説1)や木原官房長官が為替相場の動きについて「一方的で急激、行き過ぎた動きには適切に対応」と発言したこともあって、少し調整の動きが入って157円50銭を挟んでの推移となった後、同日海外市場でドル安円高が加速した。片山財務相が通信社とのインタビューで日銀会合後の円安について「完全にファンダメンタルズではなく投機」「断固として措置をとる。アクションをとるということを申し上げている」と発言。さらに為替介入について、日米財務相間の合意事項として「フリーハンドがあるということだ」と発言した。こうした介入の可能性を強く示した円安けん制発言を受けて、ドル円は156円台へ急落。発言直後の売りが一服した後も、実弾介入への警戒感から戻りが鈍く、その後もドル安円高となり156円71銭を付けた。

 ユーロドルは海外市場に入ってドル全般の売りが優勢となって東京午前の1ユーロ=1.1700ドル台から1.1769ドルまで上昇。商品価格の上昇を受けて豪ドルなどが対ドルで買われたことなどがドル全面安につながった。ユーロ円はドル円での円買いとユーロドルでのユーロ買いが交錯。1ユーロ=184円台半ばを挟んでの上下が続いた。

 23日に入って、円高が加速。片山財務相が朝の閣議後の会見で前日の通信社インタビューで見せた円安けん制発言を繰り返すと、ドル円はじりじりと下げる展開となり、156円をしっかり割り込んだところでもう一段のドル売り円買いが出て155円65銭を付けた。ユーロ円が東京朝の184円50銭前後から183円44銭までユーロ安円高となるなど、円は全面高となっていた。

 ドル円は安値を付けた後反発。23日米国朝に本来は10月末に発表されていた米第3四半期GDP速報値が発表されると、予想を大きく超える前期比年率+4.3%という力強い伸びにドル買いとなった。第2四半期GDPも前期比+3.8%と好調さを見せていたが、第2四半期はトランプ関税への対応で第1四半期に駆け込み輸入が拡大してGDPがマイナスとなり、その反動で第2四半期の輸入が減少したことでGDPが押し上げられていたものであった。第3四半期の強さは個人消費が+3.5%とかなり高い伸びを示したことが最大の要因となっており、米景気の底堅さが意識されてドル買いとなった。ドル円は156円50銭台まで上昇。発表前に節目である1.1800ドルを付けていたユーロドルは1.1760台を付けた。クロス円では円安の勢いが勝り、ユーロ円は184円20銭台を付けた。

 米GDPを受けたドル高一服後、じりじりとドル安円高となり、24日に入って155円56銭と前日の安値を下回った。日本当局の円安けん制発言への警戒が、クリスマス前で取引が低調な市場の中で、じわじわと効いていた。ユーロ円が183円29銭を付けるなど、円が全面高となっていた。ドル円、ユーロ円とも安値を付けた後はクリスマス明けまでもみ合いとなった。

 クリスマス明けは円売りが優勢となった。東京朝に発表された12月の東京都区部消費者物価指数(CPI)が生鮮除く前年比+2.3%と11月の+2.8%から一気に悪化したことで、日銀の追加利上げ期待が後退したことで円売りとなった。海外市場まで流れが続き、156円76銭を付けた。ユーロ円は東京CPI後に184円43銭まで上昇。その後対ドルでのユーロ売りに少し売りが出たが、海外市場で東京午前の高値に迫る動きを見せた。

今週の見通し

 今週から海外勢がクリスマス休暇を終えて出てくるが、日本勢が年末年始で休暇に入っており、円関連の取引参加者は低調となる。また1月1日が世界的に休場となることもあって、通常第1営業日に発表される米ISM製造業景気指数や、第1金曜日の発表が多い米雇用統計(用語解説2)の発表は来週に回っている。そのため、相場を動かす材料もやや不足気味となる。

 こうした中、ドル円は次の方向性を見極める展開となっている。日銀金融政策会合後の植田総裁発言や、先週の東京都区部消費者物価指数の弱い伸びを受けて、追加利上げ期待が後退する一方、日本当局からの強い円安けん制姿勢がみられる状況。売り買いの材料が交錯する中で、2026年序盤の方向性を見極めようとしている。

 今週に関しては日本勢の参加が少ないと見込まれることから、155円から157円にかけてのレンジを中心とした推移を予想している。本格的に動きが出るとすると、お正月明け1月5日以降か。

 ユーロドルはややしっかりの展開となっているが、1.1800ドルを超えてのユーロ買いには依然慎重姿勢がみられる。1.17台を中心とした推移を見込んでいる。

 ユーロ円はドル円次第の面が大きい。183円から185円にかけてのレンジが中心か。対ドルでのユーロの堅調さもあり、下がると買いが出る展開が続きそう。

用語の解説

三村財務官 三村淳財務官。東京大学法学部を卒業後1989年に大蔵省に入省。銀行局に配属。入省後フランス国立行政学院(ENA)に留学。キャリアの中では金融庁や国際決済銀行に出向しており、キャリアを通じて金融行政に関わっていた。2020年に財務省大臣官房審議官(国際局担当)、2021年に国際局長に就任。2024年7月31日から現職。
米雇用統計 米労働省労働統計局(BLS)が発表する米国の雇用状況に関する指標。米金融政策動向に大きな影響を与えることから市場で最も注目されている指標の一つとなっている。基準日である12日を含む週から数えて3回目の金曜日の発表が基本的な規則となっており、前月が31日まである場合、第1金曜日が発表日となるが、1月に関してはクリスマス休暇や年末年始の関係から、第2金曜日の発表となることがある。

今週の注目指標

米FOMC議事要旨 12月31日4:00
☆☆☆
 12月9日、10日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表される。12月のFOMCでは市場見通し通り政策金利であるFF金利誘導目標が0.25%引き下げられ、3.50-3.75%となった。利下げは3会合連続となる。同会合での声明ではインフレが依然としてやや高止まりしているとの認識が示された。また、FF金利の追加調整の程度と時期を検討するにあたって、今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価するとされた。こうした表現は10月28日、29日に開催された会合での声明と同じものとなる。
 投票は9対3となり、ミラン理事が0.5%利下げを主張、カンザスシティ連銀のシュミッド総裁とシカゴ連銀のグールズビー総裁が据え置きを主張した。ミラン氏とシュミッド氏は10月会合に引き続いての主張、グールズビー氏が12月会合から据え置き主張に加わった。12月会合で示された経済見通し(SEP:Summary of Economic Projection)では、今回の投票権を持っていなかったメンバーを含めた全19名のメンバーのうち、6名が12月の据え置きを見込んでいたこと、7名は2026年中の利下げを見込んでいないことが示された。短期金利市場の動向などから見込まれる市場の見通しは2026年中に2回の利下げが中央値となっており、両者にギャップがあることがわかる。
 こうした状況を受けて今回の議事要旨でメンバーが今後の金融政策をどのように見ているかが注目されている。投票結果やSEPの見通しなどから受ける印象の通り、追加利下げに慎重なタカ派姿勢が目立つようだとドル買いが強まる可能性がある、ドル円は157円台に向けた動きが見込まれる。
米新規失業保険申請件数(12月21-27日週) 12月31日22:30
☆☆
 ここにきて新規失業保険申請件数の数字はブレが目立っており、11月23-29日が19.2万件と約3年ぶりの低水準となったが、翌週11月30日-12月6日は23.7万件となり、ここ5年で最も大きな増加となった。前回12月14-20日は速報ベースで21.4万件。予想の22.4万件を1万件下回った。それほど悪くない水準であるが、現在の米労働市場はエコノミストなどが「雇用も解雇もない」と表現した状況が意識されており、決して強い状況ではない。今回の予想は21.5万件とほぼ前週並みが見込まれている。予想前後であれば相場への影響は限定的となるが、予想外に増加を見せた場合、米労働市場の冷え込み警戒からドル売りとなる可能性がある。乖離幅によるが、ドル円は155円50銭をトライする可能性がある。
フラッシュクラッシュ警戒 1月2日☆☆ 1月2日は東京市場が休場となるが、他はほとんどの市場が開いている。通常の日本の祝日は取引参加者がある程度残っているが、三が日に関しては日本からの参加者がほとんどいないことから、流動性の低さに起因する短時間での大きな動き、いわゆるフラッシュクラッシュが起きることがある。直近では2019年1月3日の早朝にドル円が数分間で約4円の急落を見せた。事前の対応は難しいが、ポジション管理には気を付けたい。

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