2026年01月05日号

(2025年12月29日~2026年01月02日)

先週の為替相場

年末年始で方向性はっきりせず

 先週(12月29日-1月2日)のドル円は、155円から157円のレンジを中心とした一進一退が続いた。年末年始で日本勢の参加者が極端に少なく、明確な方向性が見られない展開となった。週の前半は12月29日に公表された日本銀行金融政策決定会合(12月18日・19日開催、0.25%の利上げを決定)の「主な意見」(用語説明1)を受けて一時円高に振れたが、週後半にかけては円安が優勢となった。

 29日は、日銀会合の「主な意見」が「中立金利まで距離がある」など追加利上げに前向きなタカ派的内容だったことを受けて円買いが先行した。週明け156円50銭台で開始した後、156円06銭まで下落。しかし、156円00銭を割り込めずいったん反発した。26日発表の12月東京都区部消費者物価指数(東京CPI)が前年比2.3%と伸びが鈍化したことで、追加利上げ期待が一部後退していたことも円売りの支えとなり、下げ幅を解消する場面もあった。その後、当局による円安けん制への警戒感もあり、ロンドン市場序盤に156円05銭とわずかに安値を更新。NY市場ではもう一段円高となり、一時155円台まで売り込まれた。

 30日は日本市場の年内最終取引日(大納会)であり、ポジション調整の円売りから156円34銭まで上昇した。台湾周辺での中国の軍事演習による地政学リスクも円の重石となった。しかしその後、ドル人民元が1ドル=6.9928元と2023年5月以来の「ドル安・元高」水準を付けたことをきっかけにドルが全面安となり、ドル円も155円75銭まで反落。NY市場では、年末のロンドンフィキシング(用語説明2)にかけた実需のドル買いが入り、156円50銭前後まで買い戻された。

 31日以降、日本市場は休場。31日は日本勢不在で介入警戒感が和らいだこともあり、ドル円は156円99銭まで上昇。年明け2日の海外市場でもドル円の底堅さが意識され、157円00銭前後まで上値を伸ばしたが、同水準でのドル買いには慎重な見方も多く、その後は156円台後半で小動きとなった。ドル全面高の中、ユーロドルは1.1713ドルまでユーロ安ドル高となった。ユーロ円は対ドルでのユーロ売りとドル円の堅調さの中で、184円00銭を挟んでの上下となった。

今週の見通し

 日本勢が年末年始の休暇から復帰。今週から2026年市場が本格的に始動する。ドル円は日本の財政赤字懸念もあり、円安基調が意識されている。米国のインフレ警戒からの早期利下げ期待の後退によるドル高もあり、ドル円は底堅い展開が予想される。先週の155円から157円にかけてのレンジを切り上げ、156円から158円にかけてのレンジを中心とした推移を見込んでいる。ただ、158円を超えてくると、日本の通貨当局による円買い介入実施に対する警戒が強まり、上値が抑えられるとみている。

 今週は主要な米指標の発表が相次ぐ。主なものでは5日のISM製造業(12月)、7日のADP全米雇用レポート(12月)、ISM非製造業(12月)、雇用動態調査(JOLTS)(11月)、9日の雇用統計(12月)、ミシガン大学消費者信頼感指数(1月)となる。中でも米雇用統計は今年前半の米金融政策動向を予想するうえで重要な材料となる。これらの指標結果次第では流れが一気に変わる可能性がある。米指標に弱いものが続き、早期の米利下げ期待が広がるようだと、ドル売りが見込まれる。この場合、ドル円は155円台トライも十分にあり得る、

 ユーロドルはドル安に押されて上値が重いものの、下がると買いが出る展開か。1.16から1.18にかけてのレンジを中心とした推移が見込まれる。

 ユーロ円はドル円次第の面が大きい。日本の財政赤字警戒での円売りもあり、下がると買いが出る展開。節目である185円に向けた動きが予想されるが、米指標結果などを受けてドル円が下げるようだと、流れが一変する可能性がある。

用語の解説

主な意見 日本銀行が2016年からの日銀の運営見直しにおいて、金融政策会合の回数を年に14回から8回に変更した際に、市場とのコミュニケーション強化のために始めた発表。会合の6営業日後をめどに、政策委員が会合で発言した主な内容を整理して公表する。
ロンドンフィキシング ロンドン市場における対顧客向け為替基準レートが決定される時間のこと。東京市場における仲値に相当する。英国がグリニッジ標準時の時は日本時間25時、英国がサマータイムの期間は24時になる。

今週の注目指標

米ISM製造業景気指数(12月) 1月6日0:00
☆☆☆
 前回11月のISM製造業景気指数は48.2と、10月の48.7から低下した。市場予想は49.0となっていた。好悪判断の境となる50を下回るのは9か月連続。内訳の中で、先行きを示すこともあって重要視される新規受注が10月の49.4から47.4まで悪化しており、警戒感を誘った。雇用は44.0と10月の46.0から悪化している。
 今回の予想は48.4と小幅に改善も、50に届かない見込み。予想前後もしくは下回ると、ドル売りの材料となりそう。米景気の鈍化懸念からドル円は155円台に向けた動きが見込まれる。8日午前0時に発表される同非製造業景気指数と合わせて注目したい。
米ADP雇用者数(12月) 1月7日22:15
☆☆☆
 米給与計算代行大手ADPによる全米雇用レポートは、前回11月分の民間雇用者数が前月比3.2万人の減少となった。2023年以来の大幅減となる。市場予想は1万人の増加となっていた。米労働省労働統計局による雇用統計は11月分が6.4万人の増加となったが、10月分が10.5万人の大幅減となっており、2か月足して4.1万人の減少と米雇用市場の厳しさを示した。
 今回のADPの予想は4.8万人の増加と回復を示している。予想通りもしくはそれ以上の回復を見せると、米雇用市場への警戒感が一服し、ドル買いとなる可能性がある。ドル円は158円台に向けた動きが期待される。
米雇用統計(12月) 1月9日☆☆☆ 前回11月の米雇用統計は、失業率が4.6%となり、9月の4.4%から0.2ポイント悪化した(10月分は計測不能のため発表がない)。内訳を確認すると、ティーンエイジャーの失業率が13.2%から16.3%へ一気に3ポイント以上悪化。また、正社員を望みながらパートタイム職しか得られていない人が1.5倍に増えるなど、比較的弱い層の雇用環境が厳しくなっている。非自発的失業者を含めたU6失業率も、8.0%から8.7%へ0.7ポイントの大幅な悪化となった。これらは雇用市場が弱い時に生じやすい状況である。
 非農業部門雇用者数は、11月分と同時に発表された10月分が前月比-10.5万人と予想の-2.5万人を大きく超える減少となり、11月は+6.4万人と反動もあって増加した。8月分は-2.6万人、9月分は+10.8万人にそれぞれ下方修正されている。10月・11月の合計は4.1万人の減少となった。3か月平均では+2.2万人にとどまっており、ダラス連銀が推計する「失業率を一定に保つために必要な最低限の雇用者数(ブレークイーブン雇用)」の約3万人(10月9日時点の推計値)すら下回っている。
 非農業部門雇用者数の内訳では、10月の大幅な減少は政府部門(-15.7万人)が主な要因となった。トランプ政権下での早期退職プログラムでは「9月までの給与支払い」が条件となっているものが多く、それまでは職を実際に離れていても統計上は雇用者として扱われていたが、10月に入ってその分が一気に減少した形となった。11月の政府部門の減少は0.5万人にとどまった。一方、民間部門は10月が+5.2万人、11月が+6.9万人と、まずまずの水準を維持している。
 11月に弱さが目立ったのは娯楽・接客業(-1.2万人)となった。この部門は飲食業など大きな雇用を抱えており、好況時には雇用市場を支えることが多いが、今回はカジノ・アミューズメントや宿泊業が振るわず、部門全体がマイナスとなった。これは政府機関の閉鎖による空の便の乱れや、国立公園の閉鎖が観光業に影響を与えたためと考えられる。
 今回12月分の予想は非農業部門雇用者数が+5.9万人となっている。前回の11月分が記録的に弱かった10月からの反動を含んでいたことを考慮すると、決して悪くない水準。民間雇用がある程度の強さを維持していること、前回の娯楽・接客業の弱さが政府機関閉鎖の一時的な影響であれば、12月は改善が見込まれることから、12月は比較的しっかりした数字が見込まれている。失業率も4.5%へと0.1ポイント改善見込み。
 12月23日に発表された米第3四半期GDP(速報値)が、前期比年率+4.3%と市場予想の+3.3%を大きく上回る伸びを見せるなど、米景気は鈍化懸念が強いものの、意外な底堅さを見せている。今回の雇用統計が予想通り、あるいは予想より強めの結果となれば、FRBの早期利下げ期待が後退し、ドル高が加速すると見込まれる。ドル円は心理的な節目となる160円を目指す大きなきっかけとなる可能性がある。

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