2026年01月19日号

(2026年01月12日~2026年01月16日)

先週の為替相場

週前半は円安、2024年7月来のドル高を付けた後、調整

 先週(1月12日-16日)のドル円は、週の前半に円安が進み、2024年7月以来の高値圏となる1ドル=159円45銭を付けたが、その後、介入警戒感などに押されてドル安円高が優勢となった。

 成人の日で東京市場が休場となった週明け12日、ドル円は先々週末9日の終値157円90銭を挟んでの推移となった。朝は157円52銭を付けるなど、ドル安でスタート。11日にパウエル議長が米司法省からの召喚状を受け取ったことを発表し、中央銀行の独立性に関する疑念からのドル売りが広がった。もっともすぐに反発し、一方向の動きにならず。高市首相が早期解散を決めたとの報道が円売りを誘った。13日に連休明けの東京勢が復活すると、円安の流れが加速。片山財務相が「急激な円安進行を憂慮」と発言したが影響は限定的なものにとどまり、当局者の発言だけでは円安の流れを変えることは難しいとの思惑が円売りを誘った。

 14日まで流れが継続し、同日東京市場午前に2024年7月以来のドル高圏159円45銭を付けた。その後159円台前半での推移を経て、海外市場で一転してドル安円高となった。東京時間午後に片山財務相が「行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せず適切に対応」「9日のような急激な動きはファンダメンタルズを反映していない」など、円安進行に対して強いけん制姿勢を見せた。三村財務官も歩調を合わせて「一方向で急激な動きを憂慮」と円安けん制を行ったことで、介入警戒感からのドル安円高となった。同日発表された米生産者物価指数(PPI)や米小売売上高は比較的強めの結果となったが、マーケットの反応は鈍く、158円10銭までドル安円高が進んだ。

 ドル売り円買いが一巡した後は動きが収まり、15日は158円台での推移が続いた。高市首相が23日の通常国会冒頭での解散を決めたとの報道が円売りを誘う一方、片山財務相・三村財務官などの円安けん制発言が上値を抑え、ドル円は一方向の動きになりにくい状況となった。

 16日朝に片山財務相が「日米財務相の合意の中には為替介入が含まれている」「あらゆる手段含め断固たる措置取ることを再三申し上げている」と強い円安けん制発言を行ったことで、157円98銭を付けると、その後は158円00銭を挟んでの推移。海外市場ではトランプ大統領の二つの発言を受けてやや神経質な展開となった。一つ目はハセット米国家経済会議(NEC)(用語説明1)委員長に関して「現職に留まってほしい」との発言。ウォーシュ元FRB理事(用語説明2)と並んで次期FRB議長の有力候補とされたハセット氏は、ハト派色がかなり強いと認識されており、同氏が次期議長候補として後退し、より現実的な姿勢が強いウォーシュ氏が最有力候補となったことはドル買い材料として意識された。もう一つはデンマーク自治領グリーンランドに関して「複数国に関税を課す可能性ある」と発言した件となる。同件については17日に入って、デンマーク、ドイツ、フランスなど欧州8か国に対して2月1日から10%の追加関税を付加、6月に25%に税率を引き上げるとの方針を自身のSNSで示した。こちらはユーロをはじめとする欧州通貨売りと、米国売りの流れからのドル売り材料となる。ドル買い、ドル売り両方の材料が交錯する中、一時157円82銭を付けたが、158円10銭台まで戻して先週の取引を終えた。

 ユーロドルはパウエル議長への司法省からの召喚状送付の問題を受けて、12日にドル安が進む中で、1ユーロ=1.1620ドル台から1.1699ドルを付けた。対円でもユーロ高が優勢で1ユーロ=183円60銭台から184円67銭を付けている。ユーロドルはその後じりじりとドル高が進行。15日の米新規失業保険申請件数(1月4日ー10日の週)が19.8万人と予想及び前週を下回る強い結果となったことで、ドル高が強まり1.1600ドルを一時割り込んだ。少し戻した後、トランプ大統領のグリーンランドに関しての欧州への追加関税発言を受けて1.1585ドルを付けている。

 ユーロ円は12日に対ドルでのユーロ買いを支えに上昇した後、高市首相の早期解散決断を受けた円売りを支えに13日に185円54銭まで上昇。14日に185円57銭とわずかに上値を更新した後、介入警戒感からの円買いを受けて動きが反転。週末には183円21銭を付けている。

今週の見通し

 トランプ大統領は17日に欧州8か国に対する追加関税の賦課を発表。欧州連合(EU)は対抗措置として追加関税など930億ユーロ(約17兆円)規模の報復案を示している。米欧の対立激化を警戒して、ドル円はやや上値が重い展開。グリーンランドをめぐる姿勢は米国内でも批判が見られることから、関税の取りやめなどの妥協案が示されるとの見方が強く、ドル売りが優勢となる可能性がある。

 ドル円は157円台から158円台にかけてのレンジを中心に次の方向性を探る展開を予想している。22日、23日の日銀金融政策決定会合は、12月の会合で利上げを実施してすぐということもあり、政策金利の据え置きで見通しが一致。注目は声明や会合後の植田総裁会見での今後に向けた姿勢と、経済・物価情勢の展望(展望レポート)での物価見通しなどとなる。2026年度の物価見通し引き上げなどが見られると、円買いが強まる可能性が高い。ドル円はグリーンランド問題で上値を抑えられた上に、日銀の追加利上げ期待が広がると、156円台半ばを試す展開が予想される。

 ユーロドルはグリーンランド問題で不安定な動きが見られそう。1.1550ドルを割り込むと下げが加速する可能性がある。ユーロ円は184円00銭-50銭が上値抵抗水準。182円50銭を割り込むと、下げが加速する可能性がある。

用語の解説

国家経済会議 国家経済会議(NEC: National Economic Council)は大統領の経済政策の総合調整を担う機関。1993年に当時のクリントン大統領によって経済版の国家安全保障会議として設立された。各省庁の経済に関する意見を集約し大統領に示す調整役、経済政策の優先度などについての助言、政策がどのように実行されているかのチェックなどが役割となる。
ウォーシュ元FRB理事 ケビン・ウォーシュ(Kevin Warsh)元FRB理事。ハーバード大学大学院卒業後、モルガンスタンレーで勤務。2002年から2006年までブッシュ政権下で大統領特別補佐官(経済政策担当)と国家経済会議(NEC)事務局長を務めた。2006年に史上最年少となる35歳でFRBの理事に就任。2011年にバーナンキFRB議長によるQE2などの量的緩和策に反対して、任期を残して退任した。退任後はスタンフォード大学フーバー研究所の客員フェローや、米貨物運送会社UPSの取締役などに従事。

今週の注目指標

ダボス会議
1月19日-23日
☆☆☆
 19日からスイス東部のダボスで世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(通称ダボス会議)が開催される。今回はトランプ大統領が6年ぶりに現地で参加する(昨年はオンライン参加)。米国はトランプ大統領に加え、ルビオ国務長官、ベッセント財務長官をはじめとした多くの閣僚や、ウィットコフ中東担当特使、米議会の超党派代表団など、過去最大規模での参加となる。ウクライナ問題、イラン問題などに加え、直前で欧州と米国の対立が強まっているグリーンランド問題などについての協議が注目される。世界的なリスク警戒の動きが広がると、円買いが強まる可能性がある。ドル円は156円台に向けた動きが見込まれる。
豪雇用統計(12月)
1月22日09:30
☆☆
 前回11月の豪雇用統計は雇用者数が市場予想の+2.0万人、10月の+4.11万人に対して-2.13万人と予想外の雇用減となった。内訳をみると、正規雇用が10月の+5.36万人から-5.65万人に一気に悪化しており、全体を押し下げた。今回は+2.63万人とまずまずの伸びが期待されている。前回の弱い結果から一転して堅調な結果を示すと、期待がやや後退気味の2月の利上げ期待が再燃して豪ドル買いとなる可能性がある。豪ドルドルは0.6800ドルを目指す可能性がある。
日銀金融政策決定会合
1月22日・23日
☆☆☆
 1月22日・23日に日銀金融政策決定会合が開催される。結果発表は23日昼前後となり、23日15時半から植田日銀総裁の会見が行われる。12月の会合で利上げを実施した直後だけに、今回は金融政策の現状維持が見込まれている。注目は、今後の追加利上げに向けて声明や会見でどのような姿勢を示すかと、今回同時に発表される「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」での今後の見通し、特に2026年度の物価見通しとなる。
 前回12月の会合は、声明で一部タカ派な表現変更が見られたが、会合後の会見はハト派的と評価された。声明では10月会合でみられた「消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩む」の一文が削除され、「基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率はともに徐々に高まっていく」と示された。10月の声明での成長ペース鈍化は、海外経済の減速が下押し要因とされており、12月会合時点で不透明感が低下したことに違和感はないものであった。
 会見では、声明にある「現在の実質金利がきわめて低い水準にある」の意味について質問を受け、「(中立金利の)推計値のある種下限にはまだ少し距離がある」との説明を行った。その一方で「中立金利の推計値は相当なばらつきがあります。その水準を前もって特定することは難しく、かなりの幅を持ってみる必要がある」とも述べた。植田総裁は12月4日の参院財政金融委員会で、中立金利について「今後もう少し(幅を)狭めることができたら適宜公表していきたい」と発言しており、マーケットは12月の会合で中立金利がある程度絞った形で示されることへの期待感を強めていただけに、ややハト派的という印象を与えるものとなった。今回の声明や会見でも基本的に12月の姿勢が踏襲されるとみられるが、円安進行への牽制もあり、追加利上げに前向きな姿勢が示されれば円買いで反応するとみられる。
 展望レポートでは、2026年度中の消費者物価指数(除く生鮮食品)の見通しが焦点となる。10月の展望レポートでは前年度比+1.8%と、7月時点と同水準が維持された。賃金の上昇見込みなどによって同見通しが上方修正されれば、追加利上げのハードルが下がることになる。 また、2025年12月31日をもってガソリン税の暫定税率が廃止された点も重要となる。10月の展望レポート時点では、廃止した場合に1年間で0.2%程度物価が押し下げられるとの試算が示されていた。これを機械的に当てはめると、今回は+1.6%まで下方修正される形となる。しかし、今回その押し下げ分を含めても1.8%程度の見通しが維持されれば、事実上の上方修正と受け止められ、円高材料として意識される可能性がある。声明内容などにもよるが、ドル円は156円台に向けた動きを強める可能性がある。

auじぶん銀行外貨預金口座をお持ちのお客さま

ログイン後、外貨預金メニューからお取引いただけます

免責事項

本レポートは株式会社時事通信社が提供しています。また本レポートの内容は、株式会社時事通信社が提供する情報をもとに、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが執筆しています。本レポートは、情報提供のみを目的にしたもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。投資決定に当たっては、投資家ご自身のご判断でなされますようお願いいたします。株式会社時事通信社、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドおよび情報提供元は、本レポートに記載されているいずれの情報についても、その信頼性、正確性または完全性について保証するものではありません。また本レポートに基づいて被った損害・損失についても何ら責任を負いません。本レポートに掲載されている情報の著作権は、株式会社時事通信社および株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドに帰属します。本レポートに掲載されている情報を株式会社時事通信社の許諾なしに転用、複製、複写等することはできません。

Copyright(C) JIJI Press Ltd. All rights reserved.

auじぶん銀行からのご注意

  • 本画面に掲載されている情報は、auじぶん銀行の見解を代弁したものではなく、auじぶん銀行がその正確性、完全性を保証するものではありません。

以上の点をご了承のうえ、ご利用ください。