2026年01月26日号
先週の為替相場
円安進行から週末に急落する展開
先週(1月19日-23日)のドル円は、週の後半にかけてドル高円安が進み、23日には一時1ドル=159円23銭と、1月14日に付けた2024年7月以来の高値159円45銭に迫る場面が見られた。しかし、同日夕方に一気に円買いが進み、157円台前半を付けると、海外市場でも円買いが加速し155円台を付ける展開となった。日本銀行とニューヨーク連銀がレートチェック(用語説明1)を行ったとの噂が流れている。ユーロ円が1ユーロ=186円87銭を付けた後、183円80銭まで下落するなど、クロス円も軒並み円高となっている。
週明け19日は、先々週末終値の158円10銭台からややドル安円高の157円80銭台で取引をスタートすると、いったん157円43銭まで値を下げた。トランプ大統領は16日にグリーンランド問題で欧州に対する関税賦課を示唆していたが、週末に「2月1日発動の10%関税」として正式発表。これに対しEUも対抗関税の方針を示したことで、世界的にリスク回避の動きが広がって、週の取引が始まった。もっとも、これまでのトランプ氏の姿勢から、発動までに撤回されるとの観測も広がっており、安値からはすぐに反発して158円台を回復。その後はグリーンランド問題によるドル安と、高市首相の解散総選挙正式表明による円安期待が交錯し、もみ合いとなった。キング牧師の日で米国市場が休場だったことも、動きを抑える要因となった。ユーロドルが朝の1.1570ドル台から1.1640ドル台を付けるなど、米欧対立を警戒したドル安の動きはドル円以外で優勢となった。ユーロ円などクロス円は、朝方にいったん円買いが入ったもののその後反発。ドル円の買い戻しと対ドルでのユーロ買いに支えられ、朝の182円60銭台から184円10銭台まで上昇した。
20日に入り、高市首相が食品への消費税ゼロを2年間維持すると表明したことで、財政赤字懸念から158円60銭前後まで円安が進行。その後は円安要因とグリーンランド問題によるドル安要因が交錯し、158円00銭を挟んだ一進一退の攻防が続いた。トランプ大統領は21日、NATOのルッテ事務総長との会談後、欧州8か国への関税措置を撤回すると表明。これによりドル高が再燃し、22日には158円89銭を付けた。その後、日銀金融政策決定会合の結果発表を前にポジション調整の売りが出て、158円台で当日を迎えた。
日銀会合では市場予想通り政策金利の据え置きを決定。展望レポートでは2026年度の経済成長・物価見通しがともに上方修正され、堅調な内容となったが、市場の反応は限定的だった。会合後の植田総裁会見は前回までの姿勢を基本的に踏襲したが、「物価が見通しを超えてどんどん上昇していく状況にはない」と言及。市場が「早期の追加利上げはない」との見方を強めたことで円売りが優勢となった。
会見中から始まった円売りはその後も続き、159円20銭台まで上昇。しかし、突如として一気に売りが入り157円30銭台まで急落した。2円近い下げ幅だが、実際の介入であれば初動後も断続的に売りが入ることが多いのに対し、今回は一過性だったことから「レートチェックが行われたのではないか」との見方が広がった。安値から値を戻す場面もあったが、158円台半ばからは買いが慎重となり、海外市場では再び急落して155円60銭台を付けた。NY連銀がレートチェックを行ったとの噂が流れる中、ほぼ安値圏で週の取引を終えた。
クロス円も全面安(円高)の展開となり、ユーロ円はそれまでのドル円上昇に伴う186円80銭台から183円80銭まで3円強の急落。ユーロドルはユーロ高ドル安が進み、1.17台前半から1.1830ドル台を付けた。
今週の見通し
米民主党の上院トップであるシューマー民主党院内総務は25日の声明で、移民税関捜査局(ICE)(用語説明2)を含む国土安全保障省関連予算を切り離さない限り、今週採決する2026年度予算に反対する姿勢を示した。昨年10月1日からの連邦政府機関閉鎖を巻き起こした2026年度予算は、全12法案のうち、農務関連、退役軍人関連、立法府関連などの6予算は成立済み。残り6法案の採決が今週行われる予定となっている。そのうち国土安全保障については、ミネソタ州ミネアポリスでICE職員による2件の民間人射殺事件が起きたことで、民主党が予算に対して反対姿勢を強めている。下院では予算は可決済み。上院でも共和党は過半数を占めているが、上院は少数政党による議事妨害(フィリバスター)の権利が認められているため、民主党からある程度の賛成を取り付け、60議席を確保しないと予算は可決できない。1月30日までに予算の可決ができなかった場合、再び一部の連邦政府機関が閉鎖されることとなる。
米経済の混乱につながる連邦政府機関の閉鎖の可能性を警戒し、ドル売り圧力が強まっている。先週の日米でのレートチェックの噂から、両国が連携しての円安進行阻止への期待も高まっており、円買いが入りやすい地合いも相まって、ドル安円高が強く意識される展開だ。
ドル円は年初来安値を更新しての推移となっており、次の大きなターゲットは151円00銭。ただ、先週金曜日に159円台を付けていたところから一気に値を下げており、下落スピードへの警戒感から、いったん反発する場面もありそうだ。戻り局面では、155円台半ば前後が重くなるかどうかがポイントとみている。
ユーロドルはドル全面安の流れを受け、節目の1.2000ドルを試す展開になるか注目される。
ユーロ円も1月8日に付けたこれまでの年初来安値182円64銭をわずかに下回る動きとなっている。次のターゲットは心理的節目でもある180円00銭となる。ドル円同様に下落スピードに対する警戒感もあり、いったん調整が入った場合は184円台半ばが上値のポイントとなりそうだ。
用語の解説
| レートチェック | 日銀など中央銀行が銀行などの市場参加者に実際に取引が可能なレートを確認すること。為替の水準を含む市場状況の確認は日々の業務として行われているが、実際の為替介入と同様に取引が可能なレートを確認したうえで、「ナッシング」として取引を取りやめた場合、レートチェックと呼ばれる。 |
|---|---|
| 移民税関捜査局(ICE) | 米国土安全保障省(DHS)傘下の連邦執行機関。2001年に起きた同時多発テロを受けて2003年に設立された。米国内における移民の管理と国境を越える犯罪の捜査を行う。今回ミネアポリスで二件の射殺事件を起こしたのは、このうちERO(強制執行・移送管理部門)の職員で、同部門は不法入国者、米国内で犯罪を犯した外国人の追跡などを行う部署。 |
今週の注目指標
| 豪消費者物価指数(12月) 1月28日09:30 ☆☆ | 2月3日の豪準備銀行(RBA/中央銀行)金融政策会合は、利上げか据え置きかで見通しが分かれており、政策決定の大きな材料となるCPI(消費者物価指数)に注目が集まっている。豪中銀の利上げについては、もともと2月が本線とみられていた。しかし、12月11日発表の11月豪雇用統計で雇用者数がマイナス2.13万人と予想外の減少となり、正規雇用も5万人以上減少するなど内訳が厳しい内容であったことから、利上げ期待はいったん後退した。ところが、今月22日発表の12月雇用統計では、雇用者数が+6.52万人と一気に回復。11月の数値がマイナス2.87万人に下方修正されたものの、それを大きく上回る改善となった。失業率も11月の4.4%から4.1%へと大幅に低下している。これを受けて市場では利上げ期待が再燃し、短期金利市場における2月の利上げ確率は58%と、半数をやや上回る状況となっている。 こうした中、雇用と並んで重視される物価動向に焦点が移っている。1月7日発表の11月豪CPIは前年比+3.4%と、10月の+3.8%から急速に鈍化し、市場予想(+3.7%)も下回った。もっとも、豪中銀が重要視するトリム平均は前年比+3.2%と、10月の+3.3%からの鈍化は小幅にとどまった。インフレターゲットである2-3%のレンジを上回る推移は依然として続いている。28日発表予定の12月豪CPIは、前年比+3.3%と小幅な鈍化が続く見通しだが、トリム平均は+3.3%と11月の+3.2%を上回る見込みとなっている。指標が予想通りの強さを示せば、2月の利上げ期待が一段と高まり、豪ドル買いを誘う可能性がある。豪ドルドルは心理的節目である0.7000ドルを目指す可能性がある。 |
|---|---|
| 米連邦公開市場委員会(FOMC) 1月29日04:00 ☆☆☆ | 1月27日・28日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。米連邦準備制度理事会(FRB)は前回まで3会合連続で0.25%の利下げを実施しており、現在の政策金利(FF金利)誘導目標は3.50-3.75%となっている。直近の米主要経済指標が底堅く推移していることから、今回はいったん据え置きとの見通しが大勢を占めている。金利先物市場に基づき政策金利見通しを示す「CME FedWatchツール」でも、据え置き予想は95%に達している。 前回12月会合で示された経済見通し(SEP)内のドットプロット(政策金利見通し)では、2026年末時点での利下げ回数は年1回が中央値であった。利下げトレンド自体は継続するものの、ペースの大幅な鈍化が見込まれている。マーケットの利下げ見通しはドットプロットよりも強気だが、それでも年2回が中央値であり、最初の利下げ時期は6月が大勢となっている。今回はSEPが発表されない回であるため、最大の注目点は声明文や会合終了後のパウエル議長記者会見における今後の姿勢となっている。 金融政策運営にかかわるFRBの二大命題(デュアルマンデート)である雇用と物価の状況を確認する。1月9日発表の12月雇用統計では、11月に4.6%まで悪化し懸念を呼んだ失業率が4.4%へと改善した。広義の失業率(U6失業率)も11月の8.7%から8.4%に低下している。一方で、非農業部門雇用者数は前月比+5.0万人と、市場予想(+6.6万人)を下回った。さらに10月・11月分が下方修正された結果、3カ月平均の雇用者数はマイナス2.2万人と3カ月連続のマイナスを記録した。11月分ほどの深刻な警戒感は後退したものの、厳しい状況が継続している。一方、物価については13日発表の12月消費者物価指数(CPI)が前年比+2.7%、コアCPIは+2.6%と、ともに11月から横ばいとなった。 総じてインフレは落ち着きを見せているが、利下げを急ぐ水準でもない。この「高止まり」の状態に対し、パウエル議長がどのような認識を示すかがポイントとなる。もし議長がインフレの粘着性(スティッキネス)について警戒感を示すようであれば、市場の追加利下げ期待が後退し、ドル買いとなり、ドル円は156円台を目指す可能性がある。 |
| 米2026年度つなぎ予算期限 1月30日 ☆☆☆ | 昨年10月1日からの43日間の連邦政府機関閉鎖につながった2026年度歳出法案は、全12法案のうち農務関連・退役軍人関連、立法府関連など6法案がすでに成立。残り6法案についても今月14日と22日に下院を通過しており、今週上院での採決を待つ状況となっている。国防、労働・保健福祉・教育、運輸・住宅など採決待ちとなっている6法案が現在のつなぎ予算の期限となる30日までに上院を通過し、大統領の署名を得なければ、再びの連邦政府機関閉鎖となる。 現在問題となっているのが、国土安全保障に関する予算。トランプ政権が移民の取り締まり強化を進める中で、ミネソタ州ミネアポリスで国土安全保障省傘下の移民税関捜査局(ICE)の職員による発砲で民間人2名が死亡する事件が発生した。同事件を受けて民主党の上院トップであるシューマー民主党院内総務が、ICEを含む国土安全保障関連予算を切り離して別途審議としない限り、歳出法案に反対する姿勢を示している。連邦政府機関が閉鎖された場合、ドル安となる可能性がある。ドル円は151円台に向けた動きが見込まれる。 |
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