2026年02月24日号
先週の為替相場
ドル高円安優勢 ドル円は一時155円64銭を付ける
先週(2月16-20日)のドル円は、ドル高円安が優勢となった。日本の弱い指標を受けた追加利上げ期待の後退と、米FRBのタカ派姿勢がドル高円安を誘い、週初に付けた1ドル=152.62円から20日には155.64円まで上値を伸ばしている。
16日の市場は、週間の安値となる152.62円で取引をスタートした。午前8時50分に発表された日本の第4四半期GDP1次速報値が前期比+0.1%、前期比年率+0.2%と、市場予想の+0.5%、+1.6%を大きく下回ったことを受けて円売りとなった。この結果、日銀の早期追加利上げは難しいとの見方が広がった。同日の高市首相と植田日銀総裁の会談後、植田総裁が「首相から政策についての特別な要望はなかった」と言及したことも円売りにつながり、朝方から1円強のドル高円安となる153.64円まで上昇した。同日はプレジデントデーで米国市場が休場だったこともあり、高値を付けた後は利益確定売りなどに押され、その後はもみ合いとなった。
17日の東京市場朝方には153.76円と前日高値を超えるまで円売りが進んだが、その後は一転してドル安円高となった。米株価指数先物や日経平均株価の軟調な推移がリスク回避の円買いにつながった。さらに、同日の1月英雇用統計で失業率の上昇や賃金の伸び鈍化が示されたことを受けてポンド円が下落したことも、ドル円の重石となった。その後、イラン情勢の緊迫化でドル高に振れる場面もあったが、ジュネーブでの米国とイランの高官級協議で進展があったと報じられると、上昇は一服した。
18日に入るとドル高が加速した。米MBA住宅ローン申請件数、住宅着工件数、鉱工業生産、耐久財受注といった同日発表の米経済指標が軒並み強く、ドル買いを誘った。さらに、同日午後に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月28・29日開催分)において、複数のメンバーが今後の利上げに言及するなど、市場の想定よりもタカ派な内容であったことがドル買いを後押しした。
ドル高の流れは19日も継続し、ドル円は一時155.34円を付けた。その後、利益確定のドル売りにより155.00円を挟んだもみ合いとなったが、米新規失業保険申請件数の好結果を受けてドル買い意欲が継続した。20日には、ドイツ製造業PMIや英小売売上高の好結果を受けたユーロ円やポンド円の買いも加わり、週間高値となる155.64円を付けた。その後は週末にかけて利益確定売りが強まり、154円台に押し戻されて先週の取引を終えた。
ユーロ円は、17日の英雇用統計を受けたポンド円の下落に連れ安となり、17日朝の1ユーロ=182.18円から180.82円まで下落した。イラン情勢を受けたリスク警戒の円買いも重石となったが、下げ一巡後は反発した。ドル円の上昇もあり、19日には183.15円を付けた。その後、米指標の好結果を受けたドル高によりユーロドルでユーロ売りが強まり、182.02円まで下落する場面もあったが、182円の大台を維持したことで20日に再び183円台を付けるなど、堅調地合いを維持した。
ユーロドルはドル高を受けて上値の重い展開となり、18日に節目の1ユーロ=1.1800ドルを明確に割り込むと、19日には一時1.1742ドルを付けた。
今週の見通し
20日に米連邦最高裁判所が、トランプ政権による相互関税などを違法とする判決を下した。これを受けトランプ政権は、24日午前0時1分(日本時間24日午後2時1分)より10%の代替関税を発動すると発表した。今回違法とされた関税は「国際緊急経済権限法(IEEPA)」を根拠としたものであるが、代替関税は「1974年通商法122条」(用語説明1)を根拠とする。同法による関税は150日間の暫定措置とされており、この期間内に新たな関税賦課を目指す方針だ。なお、代替関税は全輸入品(農産物・医薬品などを除く)に一律10%を課すものだが、トランプ大統領は最大15%まで引き上げる方針も示している。
こうした関税を巡る動きが先行き不透明感としてドルの重石となる一方、米利下げ期待の後退がドルを支える展開となっている。11日発表の1月米雇用統計に加え、先週の米新規失業保険申請件数の好結果などが、雇用市場の堅調さを印象付けている。23日に全米企業エコノミスト協会(NABE)のカンファレンスで講演したウォラーFRB理事(用語説明2)は、1月のFOMCでミラン理事とともに0.25%の利下げを主張していたが、2月の雇用統計も堅調であれば「次回会合で据え置きに傾く可能性がある」と述べ、ハト派姿勢を後退させた。
ドル円は、日銀の追加利上げ期待の後退や第2次高市内閣による積極財政への期待から買いが入りやすい地合いとなっているが、米国の新関税を巡る不透明感もあり、上値追いには慎重さが求められる。押し目買い意欲は継続するものの、神経質な動きとなる可能性が高い。
目先の上値ターゲットは156.50円。同水準を上抜けると、8日の高値157.76円が意識される展開となる。下方のポイントは154.00円。ここを明確に割り込むと、短期的なドル高地合いが一服しそうだ。
ユーロドルは上値の重い展開が継続するか。米国の早期利下げ期待の後退による金利差の継続見通しが、ユーロ売り・ドル買いにつながっている。1.1830-1.1850ドル前後が上値抵抗水準となりそうだ。
ユーロ円は、対ドルでのユーロ売りとドル円での円売りが交錯する。現状ではドル円の上昇の勢いが勝る可能性が高い。184.00円を超えると、上昇に弾みが付き、節目の185.00円を試す展開が予想される。
用語の解説
| 1974年通商法122条 | 米国の国際収支が著しく悪化した場合に、大統領が緊急措置として関税を課すことを認める法律である。発動条件は、米国が「深刻な国際収支の赤字」に直面している、あるいは「ドルの価値が急激に下落する恐れがある」と大統領が判断した場合となる。全輸入品もしくは特定国からの輸入品に最大15%の関税を課すか、輸入制限を行うことが可能となる。原則として150日間に限られ、期限を超えて運用する場合には議会の承認などが必要になる。 |
|---|---|
| ウォラーFRB理事 | ワシントン州立大学で経済学の博士号取得後、インディアナ大学などで教鞭をとり、ケンタッキー大学やノートルダム大学で教授職に就いたのち、2009年から2020年までセントルイス連銀で調査局長を務めた。第1次トランプ政権下でFRB理事に指名された。もともとはインフレ抑制のための早期かつ大幅な利上げを主張するなど、タカ派の急先鋒といわれていたが、2024年ごろから雇用市場への警戒感を背景に利下げを主張するハト派的な姿勢が目立つようになっている。2026年1月のFOMCではミラン理事とともに0.25%の利下げを主張した(10対2で据え置き決定)。 |
今週の注目指標
| 豪消費者物価指数(CPI/1月) 2月25日09:30 ☆☆ | 今月3日の豪準備銀行(RBA/中央銀行)金融政策会合で、2年3か月ぶりの利上げが実施された。17日に公表された同会合議事要旨では、据え置きも検討したことが示されたことに加え、今後については「インフレと経済活動の両面にリスクが存在」「現在の不確実性により、政策金利の特定の経路について高い確信を持つことは不可能」と不透明感を示している。 もっとも19日に発表された1月の豪雇用統計は失業率が12月の4.1%から4.2%に悪化見通しに対して4.1%で横ばいとなり、堅調さを示した。雇用者数は2万人増予想に対して1.78万人増と小幅に下回る伸びにとどまったが、正規雇用が5万人以上伸びており、力強さが見られた。豪雇用状況の底堅さもあり、今回の豪CPIが強く出た場合、追加利上げ期待が広がる可能性がある。 前回12月のCPIは前年比+3.8%となり、11月の+3.4%から伸びが加速。市場予想の+3.6%も上回る伸びとなった。中銀が重視するトリム平均は+3.3%と11月の+3.2%から伸びたものの、市場予想とは一致した。今回の予想は前年比+3.7%と小幅に伸びが鈍化も、トリム平均は+3.3%の維持が見込まれている。市場予想通りもしくはそれ以上の物価上昇が示されると、利上げ期待が強まる可能性がある。豪ドル円は111円に向けた動きとなる可能性がありそうだ。 |
|---|---|
| トランプ大統領一般教書演説 2月25日11時ごろ ☆☆ | 米国東部時間時間24日21時ごろから、トランプ大統領による2026年の一般教書演説(State of the Union Address)が行われる。第2期トランプ政権において初となる一般教書演説となる(就任1年目は「施政方針演説」)。トランプ政権における2年目の政策運営の優先度を示すものとなる。イラン情勢をはじめとする外交・安全保障、移民政策、政府効率化などのテーマに加え、市場が注目する関税をはじめとする経済政策も示される。20日に米連邦最高裁判所によって違法とされた相互関税を受けて、24日より10%の代替関税が発動した。ただ、同関税は150日間の時限措置となるため、今後に向けた姿勢が注目されている。そのほか、夏に見直しを控える米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に対する言及や、昨年7月に署名された「ひとつの大きく美しい法案(One Big Beautiful Bill Act: OBBBA)」の成果と今後の方針なども注目される。 米国は大統領が議会に参加する機会がこの一般教書演説などのごく一部に限られているため、注目されている。関税についての先行き不透明感が強まるようだと、ドル売りとなる可能性がある。ドル円は153円台への動きが見込まれる。 |
| 東京都区部消費者物価指数(東京CPI/生鮮除く前年比)(2月) 2月27日08:30 ☆☆ | 1月の東京都区部消費者物価指数(東京CPI)の生鮮食品を除くコア前年比は+2.0%と、11月の+2.3%から鈍化した。2024年10月以来の低い伸びとなっている。暫定税率の廃止でガソリン価格の下落率が拡大したことなどが伸びを抑制した。2月は政府の物価対策の効果もあり、+2%を割り込む+1.7%にとどまると見込まれている。日銀は1月の展望レポートで、全国のコアCPIが今年前半に+2%を下回るとの見通しを示している。先行性のある東京CPIの伸びが鈍化することで、追加利上げ期待が後退し円売りとなる可能性がある。その場合、ドル円は157円に向けた動きが意識される。 |
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